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それはAと会ってそろそろ1週間が経とうとしていた頃だった。
相変わらず昼休みは2人で屋上で食べて、中身のない言い合いをしたり他の武道の技を教えてもらったり勉強を教えてやったり……まぁ、なんだかんだ仲良く過ごしている。多分。
勝ち気で生意気で跳ねっ返りが強いけど、思っていたよりずっと楽しそうに笑う子だった。
その日までは晴れが続いていたけれど、昼ご飯を食べ終わったあたりから雨がぱらついてきて、帰る時にはかなり強く降っていた。
そんな中を折りたたみ傘を差して歩く。
すると、少し前を歩いている水色の傘が見えた。
…あ、Aだ。傘で見えにくいけど、カバンに付いてるストラップが一緒だし多分合ってるだろう。
ぼんやり川を眺めながら橋の上を歩いている彼女を早足で追いかける。
せっかくだから途中まで一緒に帰ろうとしたのだ。
しかし俺が追いつく前に、彼女は川のある一点を見てピタリと止まった。
そして持っていた傘を手放して橋の欄干に駆け寄る。
「…?おい、A──」
不思議に思って声をかけようとしたその瞬間だった。
なんと彼女はいきなり橋の欄干に乗り、躊躇なくそこから飛び降りた。
……え?
「ええええぇぇ!!?」
は!?なにやってるんだ!?バカなのか!?
低い橋だから飛び降りるだけで死ぬようなことはないけど、雨の日の川に飛び込むとか何考えるんだ!?
慌ててAが飛び込んだ場所を覗き込む。
そして、水面から顔を出した彼女が抱えている存在を見て、全てを理解した。
Aが抱き上げていたのは小さな犬。
恐らく彼女はあの犬が川に流されていたところを見つけて飛び込んだろう。
…っていうかあいつ…!
「溺れてるじゃないか!!」
泳げないのに飛び込んだのかよ!!
あぁもう…!躊躇ってる暇はない。
傘とカバンをその場に放り投げて、橋の欄干を飛び越えた。
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立夏(プロフ) - 明里香さん» わ〜!ほんとですね!ありがとうございます!!直しておきました!! (2019年1月22日 0時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 43話に誤字がありました。「聞こえ気がした」ではなく、「聞こえた気がした」です。 (2019年1月21日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - でねぼらさん» ありがとうございます!可愛く書けたらなと思っていたので嬉しいです!! (2019年1月7日 0時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
でねぼら(プロフ) - 夢主可愛い降谷可愛い (2019年1月7日 0時) (レス) id: eac5f4ad2f (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - レッド・アイさん» わぁぁ3回も!?ありがとうございます…!!ほんと元カップルっていう距離感の微妙な関係が大好きで…ストライク決められて嬉しいです!!更新頑張ります!! (2019年1月6日 12時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年12月24日 21時