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降谷side
誰かの青い浴衣が視界にちらつく。
たったそれだけのことであの日のあいつがフラッシュバックする自分に嫌気が差した。
くっそ…よりにもよってこんな場所選びやがって。花火大会にするにしてももっと別の会場行けよ。
これから捕まえる男達にねじ曲がった文句を並べ、響く花火の音にうるさいと盾突いた。
大体の地理は変わっておらず、場所もそのままの露店はいくつかある。
初めてここに来た時に遊んだ射的の店が目に入り、そういえばどっちが多く撃ち落とせるか勝負したなぁと思い出した。
無意識のうちに隣にいる彼女を見下ろせば、彼女も同じ店に目を向けている。
視線に気がついたのかこっちを見た彼女とバチッと目が合い、二人同時にすぐに逸らした。
あぁ…ダメだ集中できない…
雑念を抑え込み、人混みの中で標的を探す。
時折イヤホンに届く通信に指示を返しながら花火には目もくれずに周囲を見張る。
そんな時、若い男の手が近くにいる女性の鞄に伸びるのが見えた。
その手はそのまま財布だけを抜き取る。女性は花火に夢中でまるで気づかない。
あぁもう…時間ないのに…
とは言っても見逃すなど出来るはずもない。とっとと済ませよう。
舌打ちをしてスリの犯人の腕に手を伸ばす。
しかし、その前に白い手が彼の腕を掴んだ。
『ちょっと』
「…あ?なんだよ」
『私の前でスリだなんていい度胸じゃない。
今スった財布、出しなさい』
「はぁ?」
顔を顰める男を七瀬はきつく睨みつける。
周りの人がそれに気づき、自分の鞄の中を確認し始めた。
そんな状況に置かれ、彼はますます逃げ道を失う。
『来なさい、交番まで行きましょう』
「ふ…っざけんなこのアマ!」
一切動じずに男の腕を引く七瀬に、彼がついに拳を振りかぶる。
…あ、やばい。これは無事じゃ済まないぞ。男の方が。
とにかくあんまり騒ぐのはまずい。七瀬が拳を握ったのが見え、反射的に両者の手首を掴んだ。
『…ふるやさ、』
「なんだてめえ!離せ!」
「…そこにいる警官に引き渡してくる。これ返しといて」
『え、あ…』
彼女の方にスリ返した財布を放り投げる。
受け取るのを見ずに未だにギャーギャー騒いでる男の首根っこを掴んで近くに立っていた警察官のところまで引きずっていく。
…ほんと、変わってないな。相変わらずだ。
そういえば不審者に襲われかけた時も1人で回し蹴りして倒してたっけ。
俺は彼女のそういう所も好きだった。
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立夏(プロフ) - 明里香さん» わ〜!ほんとですね!ありがとうございます!!直しておきました!! (2019年1月22日 0時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 43話に誤字がありました。「聞こえ気がした」ではなく、「聞こえた気がした」です。 (2019年1月21日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - でねぼらさん» ありがとうございます!可愛く書けたらなと思っていたので嬉しいです!! (2019年1月7日 0時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
でねぼら(プロフ) - 夢主可愛い降谷可愛い (2019年1月7日 0時) (レス) id: eac5f4ad2f (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - レッド・アイさん» わぁぁ3回も!?ありがとうございます…!!ほんと元カップルっていう距離感の微妙な関係が大好きで…ストライク決められて嬉しいです!!更新頑張ります!! (2019年1月6日 12時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年12月24日 21時