12 クリスタル ページ13
降谷side
聞かなきゃよかった。
割とガチで本心からそう思った。
ほんとに聞かなきゃよかった。無駄に傷が増えるだけだった。
いくら気になったからってなんであれを話題に選んだんだ俺は。バカじゃないのか。
後悔はいくら積んでももう遅い。ついた傷はそう簡単には治らない。
ため息をつけば爽やかな鳥の音が返ってきた。勘弁してくれ。
誰もいない屋上。生暖かい風が前髪を揺らす。
あなたには関係ないでしょう…か。本当にその通りだな。返す言葉もない。
柵に頬杖をついて、自嘲気味に笑って、１人で青い空を見上げた。
そんな時、隣に誰かが並んだ。
目だけで確認すればそこには南。
…なんでこんな近くに来るんだこいつ。
しばらく無視して黙っていたが、彼はなにも喋らない。やがて耐えきれずに俺から声をかけた。
｢…何か用か？｣
すると南は、質問に質問で返してきた。
｢聞かないんですか？｣
｢なにを｣
｢Aさんのことですよ｣
その言葉に思わず顔を上げ、南の方を見る。
彼は眼下に広がる景色を見下ろしながら続けた。
｢あの人、降谷さんの元カノでしょう｣
｢…気づいてたのか｣
｢最初に見た時からわかってましたよ。気づかないわけないでしょう｣
流石だな、と思いながら目を逸らした。
生意気だけど、やっぱり出来るやつだ。
｢付き合ってるんだろ、本人から聞いた｣
｢えっAさんに聞いたんですか？｣
俺の言葉に意外そうな声を上げる南。
…そういえばそうだな。あいつに聞くより南に聞けばよかった。
あいつのことになるとあまりにも周りが見えていない自分が嫌になる。
すると南は俺の方を見て、いきなりこんなことを尋ねてきた。
｢じゃあ俺から聞きますけど、降谷さんはもうAさんのこと好きじゃないんですか？｣
｢はぁ？｣
思いっきり眉が寄った。
いや、これは仕方ないだろう。なんなんだこいつは。
｢好きなわけないだろ、別れて何年経つと思ってるんだ｣
よく回る口はスラスラとそんな答えを並べる。
いまいちわからない今カレ様の質問は軽く笑い飛ばした。
｢俺が元カノを何年も引きずるようなやつに見えるのか？｣
｢見えますね｣
｢…お前仕事増やすぞ｣
まじで生意気。即答すんなよ。
はぁ…とまたため息を零す。
拳を握って、はっきりと彼に告げた。
｢…好きじゃない｣
放った言葉に、何故か心臓がチクリと痛んだ。
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立夏(プロフ) - 明里香さん» わ〜！ほんとですね！ありがとうございます！！直しておきました！！ (2019年1月22日 0時) (
レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 43話に誤字がありました。「聞こえ気がした」ではなく、「聞こえた気がした」です。 (2019年1月21日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - でねぼらさん» ありがとうございます！可愛く書けたらなと思っていたので嬉しいです！！ (2019年1月7日 0時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
でねぼら(プロフ) - 夢主可愛い降谷可愛い (2019年1月7日 0時) (レス) id: eac5f4ad2f (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - レッド・アイさん» わぁぁ３回も！？ありがとうございます…！！ほんと元カップルっていう距離感の微妙な関係が大好きで…ストライク決められて嬉しいです！！更新頑張ります！！ (2019年1月6日 12時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：立夏
| 作成日時：2018年12月24日 21時
