lesson 05 ページ6
「A、お前朝の寝癖まだ直ってないぞ」
『うそ、どこ!?朝気づいてたならその時言ってよ!』
放課後に聞いても遅いじゃん!
ポカポカと零ちゃんを叩けば、彼は楽しそうに笑った。
その顔を見たら何にも言えなくなって、それでもちょっとむくれながら隣を歩く。
あの初めてキスした日から、今日で1週間が過ぎていた。
あれからキスは毎日のようにしてる。
元々、お互いの部屋をしょっちゅう行き来していたのだ。
ベランダ伝いに行けるくらい近いし。
そしたら必然、2人きりの時間なんていくらでもあるわけで。
勉強中だったり、帰り際だったり、零ちゃんはちょっとした隙をついてキスを仕掛けてくる。
相変わらず顔は真っ赤だけど、そんなとこも本当に可愛い。
零ちゃんの横顔を盗み見ながら、今日はいつされるのかなーなんて考えた。
と、そこでハタと気づく。
いやいや、なんでキスが完全に日常みたいになってるの!
ちょっと楽しみにしちゃったりして、わぁぁやだ!
私ってば破廉恥だ!!
バカバカ!これは練習!
ハニートラップの練習なんだからね!!
急に頬を抑えてううううっと唸った私を、零ちゃんは不思議そうに覗き込む。
その顔を見てしまったら、なんだかいたたまれなくて、ちょっと恥ずかしくて、ふいっと顔を逸らしてしまった。
「A?どうかした?」
『な、なんでもない!』
わたわた手を振って逃げようとしても、零ちゃんは引き下がらない。
訝しげにじーーーっと私のことを見ている。
やだやだやだ、今見ないでよ…!
色んなものに押しつぶされそうで、思わず息を止める。
そんな時。
天は私に味方してくれた。
『わっ!』
顔にいきなり冷たい何かが当たった。
…雨?え、さっきまでバッチリ晴れてたのに…?
呆然と空を見上げていたら、雨粒はどんどん増えてあっという間に土砂降りになった。
「夕立か…A、走るぞ!」
『あ、わ、わかった!』
私の手首を掴んで駆け出した彼の背中を慌てて追う。
雨に感謝だ。うまい具合に話を切り上げられた。
ちょっと火照っていた頬にぶつかる雨は少し気持ち良かった。
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ふゆーれい(プロフ) - に、ニヤニヤが全くとまりませんでした…。あと隣の子から預かってた手紙を零に渡す所が何か辛かった()面白かったです!今更ですが、完結おめでとうございます! (2022年7月25日 22時) (レス) @page42 id: 5fc4c4d6bd (このIDを非表示/違反報告)
はろーきてぃ様。 - めっちゃ面白かったです!!さいこおお!がんばれえええ! (2022年5月27日 23時) (レス) @page42 id: 278a10c8d3 (このIDを非表示/違反報告)
よる - 告白しようとした美少女の性格が好きすぎる…めっちゃカッコいいから振られたとしても堂々としてそうだなぁ (2021年4月17日 13時) (レス) id: 6e0ab3a00d (このIDを非表示/違反報告)
mami - 完結お疲れ様です!凄く面白かったです! (2019年8月5日 5時) (レス) id: 3ba7cafabb (このIDを非表示/違反報告)
盛りそば。 - なにこれ……萌しかないじゃないですか…尊死(( (2019年7月21日 15時) (レス) id: 2b295a992e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年6月15日 21時