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lesson 27 ページ28

「立花さんって、降谷くんと付き合ってるの?」

『え?』


ようやく涼しくなってきた九月下旬。

私は隣のクラスの可愛い女の子に呼び出されていた。

屋上は思ったより風が強くて、煽られる髪を抑えながら首を振る。



『んーん、付き合ってないよ、零ちゃんは幼馴染だよ』


正直、この手の質問は聞かれ慣れているのだ。

小学校ではからかわれ、中学校では零ちゃん狙いの女子に質問攻めにされて。

高校でも大体似たようなものだが、お互い大して気にしていなかった。



この子も零ちゃんが好きなのかなぁとぼんやり眺める。

うん、私なんかよりずっと可愛い子だ。

メイクもしてて、髪も巻いてて、スカートも短くて。

クラスが違うから名前は知らないけど、確か学年で1番可愛いって噂になってた子だ。


しばらく何も言わないその子が口を開くのを待つ。

と、彼女は少ししてから躊躇いがちに予想通りの言葉を口にした。



「私ね、降谷くんのことが好きなの」

『…そっか』


やっぱり零ちゃんモテモテだなあ。

どうして彼女作らないんだろう?

前に聞いた時は興味ないなんて言ってたけど、こんな可愛い子に告白されたら流石に付き合うのかな。

なんて思いながら見ていると、女の子は「それでね…」と続ける。



「立花さんから降谷くんに、渡してほしい物があるの」

『へ?』


そう言って差し出されたのは、丸い文字で「降谷くんへ」と書かれた可愛らしい封筒。

私でもわかる。ラブレターだ。

…え?これを?私から零ちゃんに?



『え、なんで私から?』

「自分からじゃどうしても勇気が出なくって…!
ね、お願い立花さん、渡すだけでいいから」


片手を顔の前に立てて、小首を傾げて、上目遣いでパチンとウインクされた。

可愛い女の子は仕草も女の子らしいんだなぁなんて場違いなことを思った。

…うん、でもまぁいっか。渡すだけだし。

断る理由なんてないだろう。



『わかった』

「ほんと?ありがとう!」


ふわっと笑った彼女の笑顔は、同性の私から見てもキュンときた。

ふふ、零ちゃんもこの子には落ちちゃうかもなぁ。

そう考えた時、何故か心がチクリと傷んだ。


…?なんだろう今の。

一瞬封筒を受け取る手を引っ込める。

…あれ、なんで私、零ちゃんに渡したくないとか思ってるんだろう。

私には関係ないのに。

自分の思いがよく分からなくて、それでも1度引き受けたんだからと言い聞かせて、女の子に小さく笑い返しながら封筒を受け取った。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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ふゆーれい(プロフ) - に、ニヤニヤが全くとまりませんでした…。あと隣の子から預かってた手紙を零に渡す所が何か辛かった()面白かったです!今更ですが、完結おめでとうございます! (2022年7月25日 22時) (レス) @page42 id: 5fc4c4d6bd (このIDを非表示/違反報告)
はろーきてぃ様。 - めっちゃ面白かったです!!さいこおお!がんばれえええ! (2022年5月27日 23時) (レス) @page42 id: 278a10c8d3 (このIDを非表示/違反報告)
よる - 告白しようとした美少女の性格が好きすぎる…めっちゃカッコいいから振られたとしても堂々としてそうだなぁ (2021年4月17日 13時) (レス) id: 6e0ab3a00d (このIDを非表示/違反報告)
mami - 完結お疲れ様です!凄く面白かったです! (2019年8月5日 5時) (レス) id: 3ba7cafabb (このIDを非表示/違反報告)
盛りそば。 - なにこれ……萌しかないじゃないですか…尊死(( (2019年7月21日 15時) (レス) id: 2b295a992e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年6月15日 21時

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