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lesson 14 ページ15

1年に1度の大きな夏祭り。

私はズラリと並ぶ屋台にうわぁ〜!と心を踊らせていた。


『零ちゃん零ちゃん!りんご飴!』

「はいはい、わかったから走るなよ」

『零ちゃん!カステラカステラ!』

「まだ食べるのかよ!」


下駄を鳴らしながらあちこち動き回ってお目当ての食べ物を次々買っていく。

やっぱりお祭りといえば買い食いだよね〜!!

この雰囲気がより美味しく感じさせてくれるのだ。

特別な日なんだから、食べなきゃ損だよ!

あ、わたあめだ!とまた走り出そうとする私の手を、パシッと零ちゃんが掴んだ。



「A、落ち着きなさすぎ」

『えぇー、ごめんなさい』

「はぐれそうだから手離すなよ」


そう言って零ちゃんは私の手を握り直す。

でもただの繋ぎ方じゃない。指を絡めてこられた。

いわゆる恋人繋ぎ。

急にぴったり引っ付いた手にびっくりして、わたわたと不自然に目を泳がせた。



『れ、零ちゃん…』

「…なに?」

『手…繋ぎ方…』

「……Aがはしゃぎすぎるのが悪いんだからな」



全然答えになってない。

でも真っ赤になった彼の耳を見るとそんなこと言えなくなくて。

それからはしばらく、なんとなく会話が止まって、大人しく屋台を眺めながら歩く。

しかしそれも私がある出店を見つけたことですぐに終わった。



『零ちゃん!射的!射的やって!』


繋いだ手を引っ張って射的の店に向かう。

零ちゃんはすっごく射的がうまいのだ。

金魚すくいも輪投げもめちゃくちゃうまいけど、特に射的はいつも百発百中。

彼はちょっと目を丸くしてから、笑って私の頭を撫でた。



「いいよ、どれ欲しい?」

『右端のクマのやつ!』

「了解、ちょっと待ってて」


刹那、零ちゃんの瞳がギラリと光る。

銃を構える横顔がかっこよすぎて、一瞬時が止まった。

そして次の瞬間、数回の破裂音が鳴り響いてあっけなく景品が棚の向こうへ落ちた。


すごい…ほんとに百発百中。零ちゃんが外したとこは見たことない。

はい、と手渡された景品を受け取ってお礼を言い、また手を繋ぐ。



『零ちゃん、あれだけ射的できたら警察官になっても楽勝だね!』

「どうだろうな、本物の拳銃とは全然違うから…」


へぇ、やっぱり本物は重かったりするのかな。

でも零ちゃんならバッチリ使いこなして的の真ん中に当ててそうだ。

そんなことを思いながら、私は懲りずにかき氷を買い食いするのだった。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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ふゆーれい(プロフ) - に、ニヤニヤが全くとまりませんでした…。あと隣の子から預かってた手紙を零に渡す所が何か辛かった()面白かったです!今更ですが、完結おめでとうございます! (2022年7月25日 22時) (レス) @page42 id: 5fc4c4d6bd (このIDを非表示/違反報告)
はろーきてぃ様。 - めっちゃ面白かったです!!さいこおお!がんばれえええ! (2022年5月27日 23時) (レス) @page42 id: 278a10c8d3 (このIDを非表示/違反報告)
よる - 告白しようとした美少女の性格が好きすぎる…めっちゃカッコいいから振られたとしても堂々としてそうだなぁ (2021年4月17日 13時) (レス) id: 6e0ab3a00d (このIDを非表示/違反報告)
mami - 完結お疲れ様です!凄く面白かったです! (2019年8月5日 5時) (レス) id: 3ba7cafabb (このIDを非表示/違反報告)
盛りそば。 - なにこれ……萌しかないじゃないですか…尊死(( (2019年7月21日 15時) (レス) id: 2b295a992e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年6月15日 21時

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