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lesson 13 ページ14

『零ちゃん、さっきのおでこ大丈夫?』

「大丈夫だよ、ほら座って」


零ちゃんはそういうが、あの時かなりの音がした。

やっぱり心配で零ちゃんの前髪を横にどける。


…おお、ほんとに大丈夫だ。

さすが零ちゃん。赤くもなんともなってない。

もしかしたら大丈夫じゃないのはドアの方だったかもしれない。


無事を確認できたため、大人しく椅子に座る。

優しく髪を梳かれる感覚が心地よくて目を細めながら、零ちゃんに話しかけた。



『れーちゃんれーちゃん、小学生のとき見つけた穴場覚えてる?』

「ああ、浜辺のとこだろ?」

『うん、今日は久しぶりにそこから見ようね』


小学生のとき、二人で見つけた小さな浜辺。

これが想像以上に綺麗に見えるのだ。

水平線上の花火が海に映って、初めて見た時は本当に感動した。



「久しぶりって…俺と一緒に行かなかった時はあそこで見なかったのか?」

『見ないよ。だって零ちゃんとだけの場所だもん』

「…………」

『…零ちゃん?』


髪をまとめていた零ちゃんの手が急に止まった。

不思議に思って振り向こうとしたが、手で阻止される。


「いい、大丈夫。髪崩れるからこっち見るなよ」

『はーい』


そう言われては見たくても見れない。

そのまま大人しく待っていると、少ししてから零ちゃんが手を離した。



「ん、できた」

『ありがとー!鏡見てくる!』


立ち上がってパタパタと鏡の前まで駆けていく。

見てみると、髪は器用にお団子にされていて、見覚えのないかんざしが刺さっていた。


『あれ?これ…』

「…あげるよ、それ。Aに似合うかなって買ったから」

『え、いいの?』



透き通るような青いガラス玉をつけたかんざしが、鏡の中で揺れる。

それは動く度にキラキラと輝いて。



『綺麗…零ちゃんの目みたいだね』

「……っ」


そんな言葉が口からこぼれ落ちた。

ちょっと頬を染めてそっぽを向いた零ちゃんを鏡越しに見る。

零ちゃんはかっこいいから何を着ても似合う。

浴衣姿の彼をしばらく見つめてから、躊躇いがちに口を開いた。



『かんざし、ありがとう。
…零ちゃん、浴衣似合ってるよ』

「………うん、Aも…かわいい、よ」


途切れ途切れに言われた言葉にぼっと頬が熱くなる。

ちーちゃん達に明日もう一度お礼を言わないとなぁと思った。


2人で花火を見に行く。

なんてことないと思っていたイベントが急に特別なことに感じられて、しばらく心臓が鳴り止まなかった。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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ふゆーれい(プロフ) - に、ニヤニヤが全くとまりませんでした…。あと隣の子から預かってた手紙を零に渡す所が何か辛かった()面白かったです!今更ですが、完結おめでとうございます! (2022年7月25日 22時) (レス) @page42 id: 5fc4c4d6bd (このIDを非表示/違反報告)
はろーきてぃ様。 - めっちゃ面白かったです!!さいこおお!がんばれえええ! (2022年5月27日 23時) (レス) @page42 id: 278a10c8d3 (このIDを非表示/違反報告)
よる - 告白しようとした美少女の性格が好きすぎる…めっちゃカッコいいから振られたとしても堂々としてそうだなぁ (2021年4月17日 13時) (レス) id: 6e0ab3a00d (このIDを非表示/違反報告)
mami - 完結お疲れ様です!凄く面白かったです! (2019年8月5日 5時) (レス) id: 3ba7cafabb (このIDを非表示/違反報告)
盛りそば。 - なにこれ……萌しかないじゃないですか…尊死(( (2019年7月21日 15時) (レス) id: 2b295a992e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年6月15日 21時

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