私と幼馴染のキス練習法【降谷零/安室透】

lesson 12 ページ13

｢なんなの！？栄養全部バストに行ってんの！？ちょっとは身長に回してやれよ！｣

『言ーわーなーいーでー！
うっ…！苦しい苦しい！！』

｢我慢しろ！けしからん体しやがって！｣


さらしで胸をぐるぐる向きにされて締められる。

胸が大きいと和服が似合わないと聞いたことはあったけど、私もそうだったようでなっちゃんからNGが出た。

私だって叶うことならもうちょい身長ほしかったよ…！


胸を潰し終わったなっちゃんは手際よく浴衣の着付けをしてくれる。

その間、ちーちゃんは私に化粧を施していた。


｢Aの肌スベスベすぎて気持ち悪い｣

『言い方に敵意を感じる！』

｢あんた赤ちゃんなの？この肌は敵だわ。メイクなんてほとんどいらないわよ｣


ぺしっとデコピンされた。理不尽。


｢で、髪はどうする？巻こうか？｣

『あ、髪なら零ちゃんがやってくれるらしいから大丈夫だよ』

｢｢あいつ女子かよ！！｣｣

『え？なんでそんな笑ってるの？』


いきなり爆笑しだした２人に目をぱちくりさせる。

零ちゃんは器用だからなんだって出来るのだ。

髪くらいチャチャッといつもやってくれる。


｢もしかしてあんた、たまに髪型キマってんの、あれ降谷がやってんの？｣

『うん、そうだよ』

｢やべー！あはは！ハイスペック！！！｣

『えー？そんなに面白い？』


笑いながらも手は動かしてくれて、着付けもメイクも完成したらしい。

同時に親指を立てて完了サインを出した友人達に改めてお礼を言う。

そんな時、狙ったように部屋のドアがノックされた。


『はーい！』


返事をすれば、ガチャリとドアが開けられた。


｢A？準備でき…………｣


そこまで言って、浴衣姿の零ちゃんがいきなり固まる。

ぶっ、と横で二人が吹き出す音が聞こえた。

そして次の瞬間、ガアンッとすごい音を立てて零ちゃんが自らドアに頭を打ち付けた。



『れ、零ちゃん！？！？』

｢｢あははははは！！！！｣｣

｢………ごめん、ちょっとメンタル整えてから出直す｣

『え！？何言ってるの！？』


なっちゃんとちーちゃんは爆笑してるし、零ちゃんはそのまま扉を閉じてしまった。

なにがなんだか分からない。

ぶつけた頭は大丈夫だろうか。


｢はー、やっぱ降谷ってAが絡むと残念になるわー｣

｢見てるこっちは最高に面白いのよねー、来たかいあったわー｣

『だからなんの話？』


こっちの話、と答えた彼女達は未だに笑ってる。

私はそれを前に困惑するばかりだった。

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