epilogue ページ40
『あれー?どこ行ったのかな〜』
今日は一緒に帰るって約束したのになぁ。
そんなことをぼやきながら校舎内を駆け回る。
探してるのはもちろん零ちゃん。
って言っても私が放課後に教室を離れたのが悪いんだけど。
少し赤くなった右頬に、秋の冷たさの混じった風が当たって気持ちがいい。
なんで赤くなってるかって、それは、まぁ…叩かれたからだ。
隣クラスのあの可愛い子に。
さっき諸々のことを謝ってきたのだ。
零ちゃんと付き合うことになったことも伝えた。
本当に申し訳ないことをしたから何をされても文句は言わないつもりだって言ったら、遠慮なくビンタが飛んできた。
流石にびっくりした。
でも、これでチャラにしてあげる、とめちゃくちゃさっぱりしたような笑顔で言われた。美人は強い。
と、その時視界の端にミルクティー色の髪がちらついた。
『あ!いた!零ちゃん!!』
「A!お前どこ行って…」
零ちゃんが途中で言葉を止めて、私の右頬を見る。
説明を求めるような視線を向けられたけど適当に『ぶつけた』と答えておいた。
「はぁ?ほんとに?」
『ほんとほんと。それじゃあ帰ろっか』
カバンを担ぎ直して零ちゃんに笑いかける。
零ちゃんもそれ以上詮索せずに、カバンを持った。
靴箱を通って、校門を抜けて、朱色に染まった空の下を歩く。
二人で帰るのは随分久しぶり気がするなぁ…
なんて考えていれば、手と手が軽くぶつかって、スルリと零ちゃんが指を絡めてきた。
隣を盗み見れば、やっぱり耳まで赤くなっている。
我慢できなくて、小さく笑ってしまった。
「……なんだよ」
『ふふ、なんでもないよ』
「お前なぁ…」
零ちゃんが繋いだ手に力を込めた。
そして急に立ち止まる。
不思議に思って振り返った次の瞬間、ちゅ、とリップ音が鳴った。
………え!?もしかして零ちゃん今キスした!?
『な、ななな…!ここ道端なんだけど!?』
「大丈夫だよ、誰もいないから」
『そういう問題じゃないもん!!』
ぶわわっと赤くなった私に、零ちゃんがいたずらっぽく笑う。
「あんまり俺を甘く見るなよ」
その顔がかっこよすぎて、更に顔に熱が集まった。
やっぱり彼氏になっても零ちゃんは零ちゃん。
相変わらずのキス魔だ。
なにはともあれ、少し歪で不思議な私と幼馴染のキス練習法は、こうして終わりを告げたのだった。
fin
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ふゆーれい(プロフ) - に、ニヤニヤが全くとまりませんでした…。あと隣の子から預かってた手紙を零に渡す所が何か辛かった()面白かったです!今更ですが、完結おめでとうございます! (2022年7月25日 22時) (レス) @page42 id: 5fc4c4d6bd (このIDを非表示/違反報告)
はろーきてぃ様。 - めっちゃ面白かったです!!さいこおお!がんばれえええ! (2022年5月27日 23時) (レス) @page42 id: 278a10c8d3 (このIDを非表示/違反報告)
よる - 告白しようとした美少女の性格が好きすぎる…めっちゃカッコいいから振られたとしても堂々としてそうだなぁ (2021年4月17日 13時) (レス) id: 6e0ab3a00d (このIDを非表示/違反報告)
mami - 完結お疲れ様です!凄く面白かったです! (2019年8月5日 5時) (レス) id: 3ba7cafabb (このIDを非表示/違反報告)
盛りそば。 - なにこれ……萌しかないじゃないですか…尊死(( (2019年7月21日 15時) (レス) id: 2b295a992e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年6月15日 21時