40話 ページ42
秋山悠太。
なんで喧嘩したかなんてもう覚えてないけど、どうせ子供の頃だからしょうもない理由だっただろう。
でも1発KOだったことは覚えてる。
あまりにも弱くて、1発殴ったら即大泣きしだしたのだ。
そしてそれ以来妙に懐かれた。
私も悪い気はしなかったから、泣き虫悠太、なんてからかいながら一緒に遊んでた。
カウンターに座る彼をチラリと覗き見る。
いや変わりすぎでしょ…なんかめっちゃ爽やかになってるじゃん。
でも間違いなくあいつだ。
私の方は幼少期からあんまり顔が変わっていないから向こうもあんなに驚いてたのだろう。
そりゃあ自分が子供の頃に死んだ友達そっくりの女が喫茶店で働いてたらびっくりするよね…
まぁ本人なんだけど。
にしてもこれはちょっとまずいなぁ。
清水Aが生きてることはトップシークレット。バレることだけは絶対に避けなければ…!
そう肝に銘じたところで、奥に座っていた常連さんが手を挙げて大きな声で私を呼んだ。
「Aちゃーん!フォーク1個持ってきて!」
『はーい!』
「え、A…?」
『あ゛っ』
やばっ、名前即バレした。
耳を疑うように呟いた彼に思わず肩を跳ねさせる。
死んだ同級生そっくりの女が名前までその子と一緒とかそりゃそうなりますよね〜!
やばいやばいと焦りながらも奥のテーブルに笑顔でフォークを届ける。
そしてカウンターの横を通った時に、彼に呼び止められてしまった。
「あ、あの!」
『ひ…っ!は、はい!なんでしょう?』
「…名前、Aさんって言うんですか?」
『………ハイ、犬飼Aデス』
犬飼…と彼は小さな声で言う。
名字は違う…とか思ってるんだろうな〜
これ絶対やばいよ、絶対今悠太の中で私=実は生きてた清水A説浮上してるよ。
そんな私の考えを裏付けるように、彼は更に私に尋ねてきた。
「失礼ですが、御年齢は…?」
『………20歳デス』
「20…」
思いっきりサバ読んでしまった。
でもこれで彼の中でその説は消えたのだろう。
清水Aは生きていれば23歳。
軽く笑って「やっぱり違うよな…」と1人呟いた彼は、そのまま私に笑いかけた。
「すみません、いきなりこんな不躾に…」
『い、いえ…』
「顔もそっくりな上、名前も同じだったんです。
…僕の初恋の人と」
『…………え、はつこ…っ!?!?』
待って待って今とんでもないこと聞いてしまった気がする。
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立夏(プロフ) - 利茄さん» ありがとうございます! (2020年4月23日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
利茄 - 面白い! 青井と犬子は、吹きましたww もう、最高ぉーーーー! もし、よかったら、私のも、読んで 下さい! (まだ、完成してないけど) www (2020年4月22日 0時) (レス) id: 1a3e36626c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - りーぬ@天使が尊いさん» ありがとうございます!!犬井犬子のくだりの時はたまたまポアロの近くを歩いてただけなので行ってないですよ〜! (2020年4月8日 20時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
りーぬ@天使が尊い(プロフ) - すっっっっっっっごくおもしろかったです!!!!!31話で主人公ちゃんがポアロに行ったことないって言ってるんですけど犬井犬子のくだりのときに行ってませんでしたっけ??思違いならすみません(((^^;) (2020年4月8日 16時) (レス) id: 181f09b6df (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 立冬さん» お前wwwwありがとうございます!!!ww (2019年2月6日 17時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年8月8日 22時