31話 ▽キャラメル色の追憶 ページ33
それは、朝コーヒーを淹れている時にふと思い浮かんだことだった。
『ポアロってどんなところなんですか？』
喫茶ポアロ。降谷さんの元潜入先のお店だ。
でもそれだけしか知らない。私はそのポアロに行ったことがないのだ。
いきなりそんなことを聞いた私に、降谷さんは朝食を作る手を止めてこっちを見る。
そして少し悩んでから答えた。
｢毛利探偵事務所の下にあるんだ。
良い店だよ。梓さんってウエイトレスがいて、その人の作るカラスミパスタが美味しいんだ｣
『へえ〜！』
降谷さんが働いてた店かぁ…行ってみたいな〜！
しかしそれを口にする前に、横から降谷さんの声が飛んできた。
｢行かないぞ｣
『ま、まだ何も言ってないじゃないですか！』
｢お前を連れてったら絶対面倒なことになるだろ｣
『大丈夫ですよ！なにかあってもうまく切り抜けますから！
降谷さんもたまには元バイト先に顔出すのもいいんじゃないですか？』
｢それはそうだが…｣
でもダメだ、と頑なな返事が返ってくる。
むむむ…お堅いな…でも私はポアロの場所わかんないから１人で行けないしなぁ…
方向音痴だから地図を見ても辿りつけない自信がある。
と、そこである案を思いついた。
そうだ。なにも降谷さんに連れてってもらわなくても、ポアロを知ってる人がいるじゃないか。
『じゃあ新一くんに連れて行ってもらいます』
そう言った瞬間、何故か降谷さんの顔色が変わった。
｢は！？俺の知らない所でいつの間にそんなに仲良くなってたんだ！？｣
『彼はマープルの常連様ですからね〜よく二人でお話するんです！
新一くん今日暇かなぁ、電話かけてきますね』
｢おい、ちょ、待てって、あ〜〜〜もう！わかった！わかったから！行けばいいんだろ！？｣
『え！？いいんですか！？』
やった！なんで急に心変わりしたかは知らないけど結果オーライ！
喜ぶ私を横目に、降谷さんは何気ない動作で私の手から携帯を取る。
画面は新一くんに電話をかけようとした時のまま。
彼は躊躇せずその通話ボタンを押した。
『えっ』
｢あ、新一くん？
君が蘭さんに一途なのはとてもよくわかってるしそこらへんについては何も心配はしてないんだけどね、
ただ僕もそれなりに面倒な大人だから｣
降谷さんはそこでニッコリと笑う。背筋が凍りそうなくらい冷たい笑顔。
｢言ってる意味、わかるよね？｣
わかりません。
わからないけど、後で新一くんに謝らないといけないことはよくわかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2761人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
立夏(プロフ) - 利茄さん» ありがとうございます！ (2020年4月23日 0時) (
レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
利茄 - 面白い！ 青井と犬子は、吹きましたww もう、最高ぉーーーー！ もし、よかったら、私のも、読んで 下さい！ (まだ、完成してないけど) www (2020年4月22日 0時) (レス) id: 1a3e36626c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - りーぬ@天使が尊いさん» ありがとうございます！！犬井犬子のくだりの時はたまたまポアロの近くを歩いてただけなので行ってないですよ〜！ (2020年4月8日 20時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
りーぬ@天使が尊い(プロフ) - すっっっっっっっごくおもしろかったです！！！！！31話で主人公ちゃんがポアロに行ったことないって言ってるんですけど犬井犬子のくだりのときに行ってませんでしたっけ？？思違いならすみません(((^^;) (2020年4月8日 16時) (レス) id: 181f09b6df (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 立冬さん» お前wwwwありがとうございます！！！ww (2019年2月6日 17時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：立夏
| 作成日時：2018年8月8日 22時
