降谷さんが狂犬と付き合い始めたらしい。【降谷零/安室透】

28話 ▽ガーネットリユニオン ページ30

『風見さーん！降谷さんどこにいるかわかりますか？』

｢降谷さん？さあ…今日はまだ見てないが…｣


首を傾げた風見さんにお礼を言ってまたパタパタと走り出す。

おっかしいなあ…いつもなら適当に勘で行けばすぐ見つかるのに。


降谷さんを見失って早30分。

ずっと探してるのになかなか見つからないのだ。

むむむ、忠犬としての勘が薄れてきてるのかな。由々しき事態である。

携帯？充電が切れてるんですよね。

あとで怒られそうだなぁやだな。

なんて考えながら辺りを見回し走り回る。

と、そこでようやく視界の端にシャンパンゴールドの髪が映った。


『あ、いた！降谷さーん！』

｢A！お前どこ行って…｣


彼は振り返って少し怒ったようにそう言う。

が、それにほんの少しだけ違和感を抱いた。

…？なんだろう、何かが違う。

不思議に思いながらもそのまま数歩駆け寄る。

そしてその瞬間、やっとその理由を理解した。



『降谷さんと匂いが全然違う！！！１から出直せパクリ野郎！！』

｢ええ！？｣


靴に仕込んでいた刃物を出して躊躇せず相手の顔に蹴りを入れた。

ギリギリで避けられたが、刃物はそいつの頬を掠める。

血は出ない。やっぱりマスクだ。

そんなに簡単に偽物なんかに騙されるもんか！


『そのマスクを脱ぎなさい！よりにもよって降谷さんに化けるなんてタダじゃ置かないんだから！』


仁王立ちでそう言った私に、相手はふふっと笑った。

もう降谷さんの声じゃない。女の声だ。

…あれ？この声どっかで聞いたことがあるような…


｢まさか匂いでバレるとはね。怖すぎじゃない？
相変わらずの化け物っぷりみたいね、シャトー｣


エレガントな口調と声が記憶の中の１人と被る。

うそ。もしかしてこのひと…！

彼女は顔のマスクをビリッと破り捨てる。

鮮やかな長い金髪が顕になった。



『ベル！？』

｢久しぶりね、元気そうでなによりよ｣


コードネームはベルモット。

黒の組織の元幹部。

妖艶に微笑んだ彼女はネクタイを緩め、パチンとウインクしてみせた。

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