13話 ページ14
そもそもこんなこと、同棲してる成人カップルに聞くようなことでもないだろう。
それでも、どう考えてもまだ清い関係でいるようにしか思えないのだ。
ていうか絶対そう。ちゃっかりやることやってたらそっちの方がびっくりする。
「キスくらいはしてるでしょう?」
『えっ』
その言葉でようやく意味を理解したのか、ぼっと彼女の頬に火がついた。
フォークに巻きついていたパスタがしゅるりとお皿に落ちる。
彼女は視線を彷徨わせながら、わたわた答えた。
『いや、まぁその…告白の時とか不意打ちでとかで何度か…』
「女子高生じゃないんだしキスくらいで照れないでくれる?気持ち悪いわよ」
『志保ちゃん今日も辛辣フルスロットルだねぇ』
相変わらず初々しいというかなんというか。
なにもかも抑えつけられた思春期で、恋バナなんてしたこともなければラブストーリーすら読んだこともないらしいから耐性がないのも仕方ないけれど。
やっぱりなにもしてないみたいね。ABCで言ったらA止まり。
彼氏の方も大変そうねと人事のように考える。
ていうか純愛物語さえ読ませてくれなかったんだったら、そういう知識も持ってないんじゃないだろうか。
下手したら赤ちゃんはコウノトリが運んでくるんだよとか言い出しかねない。
「あなた、子供の作り方知ってる?」
単刀直入に繰り出したその質問に、彼女は一時停止する。
そして収まっていた頬の赤みを一気にぶり返し、目を見開いて唇をわななかせた。
『し、志保ちゃん!!?何言ってるの!?』
「なんだ知ってるのね。そこまで情報を制限されてたなら知る機会もなかったんじゃないかと思ったけど」
カランと彼女の手からフォークが滑り落ちたが、慌てまくった彼女はそれに気づきすらしない。
『潜入とかも短期でしたことあるし、万が一のためにちゃんと勉強したから!
そりゃ詳しくは知らないし経験もないけど!!』
「へえ、それならいいけど」
一気にまくし立てた彼女は息をついて水を口に含む。
道のりは長そうね。本当に理論上での一応の知識しかなさそうだ。
「人が口出すようなことでもないと思うけど、たまにはあなたからも何かしてあげなさいね」
『なにか?』
他人の色恋にアドバイスなんて自分らしくもないが、あの男に恩を売って損は無いだろう。
小さく笑いかけて、首を傾けた。
「ほっぺにキスでもしてあげたら?」
『な…っ!』
また赤くなる彼女に、女子中学生か、と内心突っ込んだ。
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立夏(プロフ) - 利茄さん» ありがとうございます! (2020年4月23日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
利茄 - 面白い! 青井と犬子は、吹きましたww もう、最高ぉーーーー! もし、よかったら、私のも、読んで 下さい! (まだ、完成してないけど) www (2020年4月22日 0時) (レス) id: 1a3e36626c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - りーぬ@天使が尊いさん» ありがとうございます!!犬井犬子のくだりの時はたまたまポアロの近くを歩いてただけなので行ってないですよ〜! (2020年4月8日 20時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
りーぬ@天使が尊い(プロフ) - すっっっっっっっごくおもしろかったです!!!!!31話で主人公ちゃんがポアロに行ったことないって言ってるんですけど犬井犬子のくだりのときに行ってませんでしたっけ??思違いならすみません(((^^;) (2020年4月8日 16時) (レス) id: 181f09b6df (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 立冬さん» お前wwwwありがとうございます!!!ww (2019年2月6日 17時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年8月8日 22時