11話 ページ12
「新一くん、君は元組織の人間が“逃げ回る”とどうなるか知らないだろう」
「どうなるんですか?」
そこで彼は笑顔を崩してチベスナ顔になる。
「家が半壊する」
「うっわぁ…」
全然可愛くなかった。
確かに聞いてる限り犬飼さんはとんでもない戦闘力をお持ちのようだし、リアルに家が半壊してもおかしくないのかもしれない。
降谷さんは天井を仰いで続ける。
「まぁステイって言ったら止まるんだけど…」
「降谷さん?さっきから誰の話をしてるの?」
「彼女だけど?」
「本当に?飼い犬の話じゃない?」
思わず聞いてしまった。
さっきもそうだったけど、今のは絶対犬に使う表現だったろ。
「あー、飼い犬の話でもある…」
「俺もうわかんなくなってきた」
この人の中では恋人と犬は同義なのか。
本格的にわからなくなってきたぞ。
降谷さんの話はまだまだ止まらない。
「だったらと不意打ちでキスでもしようものなら真っ赤な顔で3キロ先までダッシュされた。
まじでなんなのあいつ…そんな個性的な照れ隠し望んでない…」
「か、可哀想…」
「そういうとこも可愛いと思ってしまう自分がいるから困るんだよ…」
「うわっ!!同情した矢先に惚気られるとは思ってなかった!!!」
ここでその仕打ちは酷い!!
いきなりの甘味に急いで冷めきったコーヒーを流し込む。
どうやら犬飼さんは控えめに言ってめちゃくちゃ照れ屋らしい。
…やっぱこの話初っ端から一貫して惚気だな。贅沢な悩みだ。
「同じ家に住んでるのにキス1つ出来ないんだよ?これなんの拷問?」
「それはまじで可哀想ですけどもうおなかいっぱいですご馳走です!!」
同棲してることまで判明してしまった。
幸せそうだなこの野郎!!確かに付き合ってるのにキスもさせてもらえないのはただの拷問だと思うけど!!
「降谷さん、もう帰って寝て下さい!!」
「流石に今夜は寝るよ…これ以上起きてると犬がうるさいからな」
「犬…」
「Aのこと」
…うん、もう深くは突っ込まないでおこう。
立ち上がりながら、降谷さんは横目でスマホを確認する。
なんだか一瞬表情が和らいだように見えて、わんこからのメッセージが来てたのだろうと容易に想像できた。
ほんと幸せそうだな…
恋人はこの国だと言い切ったあの降谷さんが、やっとたった1人の愛する女性を見つけたのだ。
それに安心している自分もいる。
このまま幸せでいてほしいな、と心から願った。
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立夏(プロフ) - 利茄さん» ありがとうございます! (2020年4月23日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
利茄 - 面白い! 青井と犬子は、吹きましたww もう、最高ぉーーーー! もし、よかったら、私のも、読んで 下さい! (まだ、完成してないけど) www (2020年4月22日 0時) (レス) id: 1a3e36626c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - りーぬ@天使が尊いさん» ありがとうございます!!犬井犬子のくだりの時はたまたまポアロの近くを歩いてただけなので行ってないですよ〜! (2020年4月8日 20時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
りーぬ@天使が尊い(プロフ) - すっっっっっっっごくおもしろかったです!!!!!31話で主人公ちゃんがポアロに行ったことないって言ってるんですけど犬井犬子のくだりのときに行ってませんでしたっけ??思違いならすみません(((^^;) (2020年4月8日 16時) (レス) id: 181f09b6df (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 立冬さん» お前wwwwありがとうございます!!!ww (2019年2月6日 17時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年8月8日 22時