17話 ▽揺れるピーチブロッサム ページ18
『もう!捕まえても捕まえても湧いてくるんだから!!』
そんな言葉を口にしながら、拳銃片手に路地裏を走る昼下がり。
塀を軽々と飛び越え、標的を全速力で追いかけた。
公安のお仕事は色々ある。
でもやっぱり、事務仕事が苦手な私がする任務はほぼ戦闘だ。
そしてその相手は過半数が組織の残党。
正直雑魚ばっかりだけど、こうも頻繁に相手取っていると中々に疲れる。
あの日、バーボンを恨む奴らはポーラーと共にほとんどが燃え尽きたと思っていたけど全然そんなことない。
いやぁもう湧いてくる湧いてくる。ポーラーが集めていたのはほんの一部だったらしい。
ほんとにでっかい組織だったんだなぁと改めて思い知らされた。
『ちょこまか逃げて…!いい加減にしてよね!』
すばしっこさと足の速さは降谷さんにも褒められたんだよ!
追いかけっこなら誰にも負けないんだから!
行き止まりに突き当たってフェンスに足をかけた標的に、手加減なしで思いっきり飛び蹴りを食らわせた。
アスファルトに叩きつけられた彼が体を起こす前に銃口を向ける。
『動いたら撃つ。大人しく捕まってくれる?』
ちっ、と舌打ちする音が聞こえた。
恨みがましく上げられた彼の顔には、大きな火傷跡。
ちょっとびっくりしたものの、気にせずに手錠を取り出す。
と、彼が嫌らしく口角を上げて口を開いた。
「まさか本当に公安の犬になっていたとはな、シャトー」
『……え?』
その言葉に、思わず手を止めて目を見開いた。
あ、しまった。
こういう時はとりあえずとぼけなきゃいけないのに。めちゃくちゃわかりやすい反応で返してしまった。
一瞬浮かんだそんな思考はすぐに大量の疑問に埋もれる。
待って。なんでこいつ、私がシャトーだと知ってるんだ。
シャトーは人前に出る時は絶対にお面を被っていたし、そもそもシャトーに会った人間はもうほとんどこの世にいない。
犬飼Aがシャトーであると知る人物なんて、かなり限られている。
シャトーの素顔を知る人はその人達以外には存在しないはずなのに。
混乱する私の前で、彼はまた笑う。
「はは、なんだその顔。俺が誰だかわからないわけないだろうに」
『…………えっとぉ…』
えー、なんていうかその、非常に言いにくい状況なってしまったのですが…
わたくし、記憶力が(というか頭が)とても弱くてですね…
『……どちら様でしたっけ?』
「…まじ?」
敵相手に少し申し訳ない気持ちになってしまった。
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立夏(プロフ) - 利茄さん» ありがとうございます! (2020年4月23日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
利茄 - 面白い! 青井と犬子は、吹きましたww もう、最高ぉーーーー! もし、よかったら、私のも、読んで 下さい! (まだ、完成してないけど) www (2020年4月22日 0時) (レス) id: 1a3e36626c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - りーぬ@天使が尊いさん» ありがとうございます!!犬井犬子のくだりの時はたまたまポアロの近くを歩いてただけなので行ってないですよ〜! (2020年4月8日 20時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
りーぬ@天使が尊い(プロフ) - すっっっっっっっごくおもしろかったです!!!!!31話で主人公ちゃんがポアロに行ったことないって言ってるんですけど犬井犬子のくだりのときに行ってませんでしたっけ??思違いならすみません(((^^;) (2020年4月8日 16時) (レス) id: 181f09b6df (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 立冬さん» お前wwwwありがとうございます!!!ww (2019年2月6日 17時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年8月8日 22時