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33.胡桃色 ページ35

『降谷さーん!宗教団体の幹部のデータ出来ましたーー!!』

「うるせえ」


こいつ一体いつになったら落ち着くんだ…

何度言っても声のボリュームを抑える気はないらしい。

今日も背後には忠犬よろしくぶんぶん振られる尻尾。

大きな耳の幻覚を横目に、差し出された書類をパラパラと捲る。

…うん、大量の誤字はもう突っ込まないことにしよう。

潜入先では割と上手くやってるようだし、読めなくはないから今回は許してやるか。

書類をその場に置いて、ポンと頭に軽く手を乗せた。



「おつかれ、休憩行っていいぞ」

『はい!お昼買ってきます!降谷さんもなにかいりますか?』


それを聞いて、忘れかけていたことを思い出す。

あっぶな、無駄にするとこだった。今日は買いに行かれては困るんだった。


「あー、ちょっと待て」


今にも走り出しそうだったAを止める。

キョトンとして振り返った彼女に、そばに置いておいた弁当箱を手渡した。

Aはそれをまじまじと見つめ、なお不思議そうに顔を上げる。


『えっと、これは…?』

「この前の礼だ。俺が作ってきた」

『え…』


またバカでかい声を出されるかと一瞬身構えた。

が、Aは信じられない物を見るかのように俺と弁当箱を交互に見る。



『い、いいんですか…?』

「別に弁当くらい…言ってなかったか?俺も料理は好きなんだよ」


なんだこいつ、どこにそこまでびっくりしてるんだ。

俺が料理をするのがそこまで意外か?

それともお礼にわざわざ作ってきたことか?


Aは弁当箱を持つ手にキュッと力を込める。

そしてそれ以降、すっかり黙り込んでしまった。



「…?おい、A?」


いくらなんでも様子がおかしい。

10秒静かにすることさえしないAがここまで静かになるなんて。

不審に思って顔を覗き込む。

…覗き込んで、思わずギョッとしてしまった。


だってAの大きな丸い瞳には、溢れんばかりの大粒の涙が溜まっていたのだ。

34.水色→←32.東雲色



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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 立夏さん» んふふ!良かった!同じですね(*´▽`*) (2021年1月20日 19時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 如月.夜月(きさらぎ よつき)さん» えっっっっめっちゃいいですねそれ最高ですね!!!??(笑)私もめちゃくちゃ見たいです!!!!!!! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ムースさん» わ〜!そんなにたくさん読んで頂けるなんて本当に嬉しいです!ありがとうございます! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 安室さん(怪我)、狂犬ちゃん(真顔)にお姫様抱っこされてほしいな… (2021年1月17日 13時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
ムース - 3周目です!好きすぎる! (2020年12月12日 21時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年7月6日 23時

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