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15.緋色 ページ17

「クロだな」

『クロですね』


盗聴器からイヤホンに届けられる音声を聞きながら、二人同時に頷いた。


『えへへ、殴り込みに行きます?』

「なんでそんな嬉しそうなんだ…今日はいい、また今度だ」

『はーい』


イヤホンの電源を切る。

これで“調べること”も終わり。

日本橋の下から空を見上げれば、夕焼けで真っ赤に染まっていた。


赤は好きじゃないけれど、素直に綺麗だなと思う。

少し眺めてから帰ろうか、なんて珍しいことを考えた。

そんな時だった。奴が湧いてきたのは。



「やあ、久しぶりだな、降谷くん」


世界で一番嫌いな声が耳に届いて、バッと振り返る。

緑の目。その下の濃い隈。黒いニット帽。



「…っ!赤井!」


薄く笑っている赤井秀一が、そこにいた。

最っ悪…なんでこんなところで会わなければいけないんだ。


隣のAはキョトンとしながら、俺と赤井を交互に見比べている。

そしてアカイ…と小さく呟き、やがて何か思い当たったのか『あっ!』と声を上げた。



『降谷さんの敵!FBI!』

「…一応聞くがどこ情報だ?」

『先輩がたです!』


プライバシーゼロかよ。あいつらどこまで喋ってるんだ。

赤井を俺の敵と認識したらしいAは、隣でわかりやすく敵意を剥き出しにする。

その様子を見ていた赤井は、少し考えてから「あぁ、」と顔を上げた。


「君が噂のわんこか、降谷くんが飼いだしたという」

「その噂、FBIにまで回ってるのか…」


まじでプライバシーゼロだな。

こいつすっかり有名人じゃないか。

…ってそんなことはどうでもいい。

腕を組んで赤井に向き直る。



「大体、なんであなたが日本にいるんですか」

『そーだそーだ!FBIはイギリスに帰れ!』

「…アメリカな」

すると赤井は、俺の言葉に小さく首を傾げた。


「忘れたのか?来週は公安とFBIの合同会議だろう」

「…………」


……そういえばそうだった。

嫌すぎて忘れようとしてたら本当に忘れていた。

しかしそんなことを言うわけにもいかず、はっと鼻で笑う。



「忘れてるわけないでしょう。ルーズなそっちの国と一緒にしないでくれます?」

『そーだそーだ!降谷さんが忘れるわけないだろ!』

「お前が後援に回ると途端に僕が雑魚キャラみたいになるからやめてくれないか」


ていうか普通にうるせえ。

黙ってろ、と目で言えば、Aは小さく唸って一歩下がった。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 立夏さん» んふふ!良かった!同じですね(*´▽`*) (2021年1月20日 19時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 如月.夜月(きさらぎ よつき)さん» えっっっっめっちゃいいですねそれ最高ですね!!!??(笑)私もめちゃくちゃ見たいです!!!!!!! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ムースさん» わ〜!そんなにたくさん読んで頂けるなんて本当に嬉しいです!ありがとうございます! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 安室さん(怪我)、狂犬ちゃん(真顔)にお姫様抱っこされてほしいな… (2021年1月17日 13時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
ムース - 3周目です!好きすぎる! (2020年12月12日 21時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年7月6日 23時

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