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13.榛色 ページ15

予定通り行われている取引現場から声の届かない少し離れた位置。

しかし会話は聞いている。先程盗聴器を仕掛けたのだ。

全てイヤホンから流れてくるし録音もしている。


キャスケットを目深に被ったAが無音カメラを抱えながら足音を立てずに駆けてきた。

…こいつ、こういうのは問題なくむしろ完璧に出来るんだよなぁ。

へらっとした笑顔にピースサイン。

きちんと遂行できたらしい。

これでもうあとはお互い離れたところをとっ捕まえて終わりだ。


イヤホンの向こうに耳を傾けながら機会を伺う。

…そろそろ別れそうだな。

そう思って風見たちに合図を送ろうとした時だった。

パッと二人同時に顔を上げて同じ方角を見た。



『降谷さん、誰か来ますよ』

「ああ」


足音的にも恐らく一般人だろう。

このあたりは人が来ないようにしていたはずだが、なにぶん遊園地だしどこかから迷い込んだのかもしれない。

ちっ…この先には怪しげな取引現場。新一くんがジンに殴られたのもそんなシチュエーションだったっけ。

とにかくこのあたりで引き返してもらわなければ。



「A」

『はい…っわ!?』


俺の反応を伺っていたAを壁に追いやり、キャスケットを外す。

そして彼女の顎を掴んでこっちを向かせた。



「声出すなよ」

『えっ、嘘でしょ降谷さんなに考え』

「喋ったらまじでするからな」

『ひえっ』


足音を聞きながらゆっくりと顔を近づける。

Aがギュッと目を瞑った。

…予想はしてたけどちょっと心配になるレベルで真っ赤になるな。


そのままギリギリまで近づいて唇が触れる直前で止めた。

足音の主が俺たちを見つける。

人気のない場所でカップルがキスしてたらそりゃあ大抵の人は立ち去るだろう。

狙い通り、その人はうわっと小さく声を上げて来た道を引き返していった。


ふぅ…と息をついてAから離れる。

ちょうどその時、イヤホンの向こうで別れの挨拶をする声が聞こえた。



「A、お前メガネの方の奴ふん縛ってこい」

『…え?あ、』

「おい、しゃきっとしろよ。早く行け!」

『ふぁ、ふぁい!』


…大丈夫かあいつ。若干目回ってたぞ。

わたわた走っていった背中は少し危なっかしい。

が、すぐにバキッと嫌な音が聞こえた。

うわ…さては蹴り飛ばしたな…相変わらずそういうとこは容赦ねえ…


風見の方も問題なく逮捕したと連絡が入る。

『捕らえましたー!』と無駄にでかい声の報告に鼓膜が破れるかと思った。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 立夏さん» んふふ!良かった!同じですね(*´▽`*) (2021年1月20日 19時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 如月.夜月(きさらぎ よつき)さん» えっっっっめっちゃいいですねそれ最高ですね!!!??(笑)私もめちゃくちゃ見たいです!!!!!!! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ムースさん» わ〜!そんなにたくさん読んで頂けるなんて本当に嬉しいです!ありがとうございます! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 安室さん(怪我)、狂犬ちゃん(真顔)にお姫様抱っこされてほしいな… (2021年1月17日 13時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
ムース - 3周目です!好きすぎる! (2020年12月12日 21時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年7月6日 23時

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