45話 ページ2
しかしやっと喋るかと思えば聞こえてきたのはこんな言葉。
「…お、怒らないで聞いてくれるか?」
「はぁ?」
思わずドスの効いた声が出てしまった。
何言ってるんだこの男。いつもの強気すぎる態度はどこへ行った。
思いっきり眉を寄せれば、彼はおずおずと続ける。
「だって君、あいつのモンペじゃないか」
「…………」
……しまった。否定出来なかった。
モンペ…いや、別にモンスターでもペアレントでもないが。
でも確かに内容によってはブチギレることはあるかもしれない。
「怒らないと約束することは出来ないわね」
「えぇ…」
「でもあなたの言い分を聞くことは約束するわ。言ってみなさい」
私の言葉に彼はまた黙り込み、そしてようやくことの経緯を話し始めたのだった。
*
「ぶん殴るわよ」
「ほらやっぱり怒った…」
最後まで聞いてまず出た言葉はそれだった。
この人なにをここまで面倒くさい思考に至っているんだ。寝不足なんかじゃすまされないわよ。
言いたいことはわかる。
今まで抑えられてきた分、これから一気に広がる彼女の世界を自分が抑えることにはなりたくないと、それは理解できる。
それでも、あの子が彼に抱いている気持ちはただの尊敬や特別に思うことだけではないと。気づいていないわけがないのに。
「あなた、一度寝たのよね?」
「…ああ」
「それでもまだ引き取りに来ないってことは、頭が冴えても少なからずその思考が残っているってことでしょう」
「……」
沈黙は肯定の証。
思わずため息を漏らした。まったく…犬も主人も揃って世話の焼ける。
「いいわ、あの子がうちにいるのは構わないから、気が済んだらちゃんと迎えに来なさいよ。
早くしないとうちの子にしちゃうわよ」
「…すまない、ありがとう」
彼がそう言った瞬間、階段を猛スピードで駆け上がってくる音が聞こえ、直後にバーンッと勢いよく扉が開いた。
『たっだいまーー!!!』
「うわやだ帰ってきたわ」
「そんな嫌そうに…」
『志保ちゃん外めっちゃ雪降ってるよー!あれ、電話?誰ー?』
頭に雪を載せて笑顔で駆けてきた彼女は、通話相手が誰なのかワンテンポ遅れて思い当たったのだろう。
ハッとしたように眉を寄せ、私の手から携帯を奪い取った。
『志保ちゃんは!!Aのですから!!
あと冷蔵庫の中のケーキ明日までに食べて下さいね!!』
そう言って返事を待たずに通話を切る。
…この二人、いまいちよくわかんないわね。
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かちかち太郎丸 - すきーーーーーー!!!!一気見させていただきました!!!!超絶大大大大好きです!!!ハッピーエンド最高すぎます、、、!素敵な作品ありがとうございます! (11月22日 22時) (レス) @page25 id: b4989b061f (このIDを非表示/違反報告)
みょん - 、、、天才がここにいる、、、終わりかたがすごい好きです!結婚後の話とか、映画の話とか書いてくれませんか、、、? (2022年6月17日 16時) (レス) @page25 id: 932e0b63ac (このIDを非表示/違反報告)
じゃむ - 間違いなく天才。だいすきです。あなたの夢小説に出会えて幸せ。 (2022年6月12日 22時) (レス) @page25 id: efa5817db4 (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - 映画見てなかったらごめんなさい!!!!! (2022年4月24日 23時) (レス) id: 9795adedef (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - 今日一気見したら、今年の映画っぽくてすご!って思いました!犬飼ちゃん降谷さん大好きです!!! (2022年4月24日 23時) (レス) @page15 id: 9795adedef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年10月1日 22時