44話 ページ1
志保side
どんな時でも飼い主様に絶対服従だったわんこが家出してきたと訪ねてきたらそりゃ驚くのも仕方ないだろう。
何も考えずに家を飛び出してきたらしい彼女の着替えをクローゼットの中から見繕いながら、私は携帯の向こうの男に訊いた。
「なによ、喧嘩したの?」
「…あいつからなにも聞いてないのか?」
質問に質問で返された。
通話相手はもちろん彼女のご主人様。
そっちに僕の犬が行ってないか、と先程かかってきたのだ。
「冷静に話が出来る状態じゃなかったもの。
何か言ってたみたいだけど全く聞き取れなかったわね、あれ犬語かしら?ちゃんと人語を話せるようにしつけときなさいよ」
「………すまない」
「おかげでうちが半壊しかけたわ」
「ほんっっっとうにすまない…」
あのわんこが暴れだした時の凄まじさは身をもって何度も体験しているのだろう。
プライドエベレストな彼にここまで本気で謝らせるなんてそうそうないことではなかろうか。
「別にいいわよ」と返して部屋を見渡す。
今回うちは無事ですんだのだ。荒らされる前に放り出すことに成功した。
「ストレス発散したいなら川辺走ってきなさいって言ったらダッシュで出ていったわ。
雪の中を、半袖でね」
「バカかあいつは……」
大きなため息が聞こえる。向こう側で頭を抱えている図が容易に想像出来た。
「志保さん、Aが帰ってきたら即風呂にぶち込んでやってくれ。
あとあいつバカすぎて風邪引いても全く気付かず走ってるから明日の朝は額に手当ててやって。
多分志保さんの言うことなら聞くから頼んだよ」
「…過保護すぎじゃない?」
長すぎ。この男、いつもそんなにわんこの世話をやいていたのか。
確かに危なっかしい子だから心配になるのはわかゆけど。
「ていうかそこまで言うならあなたが迎えに来なさいよ。
喧嘩の内情は知らないけど、あの子がここまで怒るってことは相当なこと言ったんでしょう?」
「……」
沈黙が流れる。
そこまで言いにくいことなのだろうか。
しかしこのままうちでしばらく預かるのなら事情を知る権利くらいあるだろう。
この場合、あのバカわんこからより彼から聞く方が良さそうだ。
なかなか口を割ろうとしない彼に根気よく待ち続けたら、彼はようやく口を開いた。
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かちかち太郎丸 - すきーーーーーー!!!!一気見させていただきました!!!!超絶大大大大好きです!!!ハッピーエンド最高すぎます、、、!素敵な作品ありがとうございます! (11月22日 22時) (レス) @page25 id: b4989b061f (このIDを非表示/違反報告)
みょん - 、、、天才がここにいる、、、終わりかたがすごい好きです!結婚後の話とか、映画の話とか書いてくれませんか、、、? (2022年6月17日 16時) (レス) @page25 id: 932e0b63ac (このIDを非表示/違反報告)
じゃむ - 間違いなく天才。だいすきです。あなたの夢小説に出会えて幸せ。 (2022年6月12日 22時) (レス) @page25 id: efa5817db4 (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - 映画見てなかったらごめんなさい!!!!! (2022年4月24日 23時) (レス) id: 9795adedef (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - 今日一気見したら、今年の映画っぽくてすご!って思いました!犬飼ちゃん降谷さん大好きです!!! (2022年4月24日 23時) (レス) @page15 id: 9795adedef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年10月1日 22時