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いきなりの呼び出しに首を傾げた。

しかも「話があります」って…なにかあったのか?

こんな言い方をされては赴かないわけにはいかない。

俺は仕事の合間にAの部屋を訪れた。

鍵はあいてますから入って下さい、とインターホンで言われて扉を開ける。

余っていた一番奥の空き部屋から電気が漏れている。あそこにいるらしい。

数週間ぶりのAの部屋は少し散らかっている気もしたけれど、特に何かが変わっていたわけではなかった。


しかし。

その部屋を覗いた時、俺は目を疑わずにはいられなかった。


帝丹高校の制服を身に纏った彼女が振り返る。

その背後にはこの前まではなかったはずのいくつもの巨大なディスプレイ。

彼女がエンターキーを押せば、それらは一斉になにかを映し出す。

Aは少しだけ微笑んで、口を開いた。


『これは大手金融機関の不正行為の証拠です』

「……は?」

『まずは私の実力をお見せするのが1番いいかと思いまして』


実力…?まさかこれ全部1人で集めたって言うのか?1ヶ月余りで?

絶句する中でAの両親の噂が脳裏をよぎる。

不正を働く企業やテロ組織のシステムを潰し回れるほど腕の立つハッカー。

その一人娘がいま目の前にいるこの子だ。


彼女は俺に向き直って背筋を伸ばした。

少し大きめの青のブレザー。

締められた緑のネクタイ。

短いプリーツスカートが春風に揺れる。

ディスプレイを背にしたAは、まっすぐに俺を見上げて言った。



『女子高生でも協力者になれますか?』



その瞳は、もうあの時のように揺れてはいない。


『私をあなたの協力者にして下さい。
言われたことはなんだって調べあげてみせます。きっと役に立ってみせます』

「協力者、って…」

『もう守られるだけの子供でいたくないんです』


目を見開いたまま固まる俺に、Aが歩み寄ってくる。

目の前で立ち止まって顔を上げた彼女の瞳が俺を射抜いた。


『あなたと一緒に戦わせて下さい』


その日、小日向Aは俺の協力者になった。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - とっっても良い話でした!!最後にお話を更新されてからかなり時間が経っているのでもうログインされていないかもしれませんが、どうしても伝えたくてコメントさせていただきました…!素敵なお話を書いていただきありがとうございました! (7月8日 22時) (レス) @page38 id: 9862219e48 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 2周目です!!本当にいい話、、大好きです。書いてくださり、本当ありがとうございました。 (2022年2月4日 23時) (レス) id: b375adba0d (このIDを非表示/違反報告)
m - 立夏さんのお話、内容がししっかりしてて面白くて…他にも作品書いてるのかなって思ったら過去に読んだ事ある作品ばかりですごい驚きました!全部すごい好きな作品だったので…Twitterのフォロー失礼致します! (2021年8月31日 12時) (レス) id: a52571fa0a (このIDを非表示/違反報告)
りー - 叔母様いい人や!姉さんの事好きだったんやな(´;ω;`) (2021年8月22日 22時) (レス) id: 6d65fc1765 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 推しが尊いマンさん» わ〜!ありがとうございます!後半すごく悩みながら書いていたので本当に嬉しいです!最後までお付き合い頂きありがとうございました!! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2019年4月5日 20時

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