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『公安だって暇じゃないでしょう、荷解きくらい自分で出来ます』


ぶっきらぼうにそう言った彼女は缶コーヒーを開けようとしている。

なかなか手間取っているように見えたから、缶を横から取って開けてから彼女の手に戻した。

しかし彼女はそれを再び俺に差し出す。


『どうぞ。インスタントコーヒーはないのでこれで我慢してください』

「…え、これ俺の?」

『私はコーヒーは好きじゃないです』

「わざわざ買ってきてくれたのか?」

『…公安の人はみんな目の下にクマ作ってるからコーヒーの方がいいかと』


降谷さんもクマ出来てますよ、と指を差された。

隠してきたつもりだったがバレていたらしい。

いまいち掴めない子だな。突き放したり気遣ったり。


ロリポップを噛み砕いた彼女は無駄に広いテーブルの前に座る。

それを受けて、俺も向かい側に座った。


『今日は顔合わせだけで終わりですか?』

「あぁ、まぁ…あー、なんて呼べば?」

『下の名前でいいですよ。小日向の名字は嫌いなので』

「…Aちゃん?」

『ちゃん付けされる歳じゃないです』

「じゃあ…A」

『はい。連絡先教えてもらえますか?』


淡々としてるな。仕事の取引でもしてる気分だ。

利発そうな顔立ちに違わず賢いのだろう。

無駄なことはせず、必要なことはこっちが言う前に済ませられていく。

中学生を相手にしてる気分にはなれないけど、それでも言動の節々にはまだ子供らしさは残っているようにも見えた。


連絡先を交換しながら、部屋の隅のゴミ箱に突っ込まれたインスタントラーメンのカップを見やる。

自炊なんかしてなさそうだな…甘いものは好きなのか、今度はチョコをかじっているけど。


『降谷さん?聞いてます?』

「え?あぁ、なに?」

『やらないといけないことが終わったならお仕事に戻ってもらっていいですよ』

「…そうだな」


空になった缶を右手で潰しながら部屋の中に視線を巡らす。

彼女を見ないままで問いかけた。


「ここには誰も来ないのか?」

『はい?』

「君の保護者が定期的に来たりとか、お手伝いさんが来たりとか…」

『ないですね。叔母様は私が嫌いですし、私は自分のことは自分でやります』

「本当に一人で住むのか?」

『小日向本家は私を遠ざけたいらしいので。私も1人の方が楽です』


Aは一呼吸置いて、どこか冷めた笑いを浮かべて続けた。


『それとも、警備が万全な本家にいた方が保護が楽ですか?』

「…そうじゃないけど」

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - とっっても良い話でした!!最後にお話を更新されてからかなり時間が経っているのでもうログインされていないかもしれませんが、どうしても伝えたくてコメントさせていただきました…!素敵なお話を書いていただきありがとうございました! (7月8日 22時) (レス) @page38 id: 9862219e48 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 2周目です!!本当にいい話、、大好きです。書いてくださり、本当ありがとうございました。 (2022年2月4日 23時) (レス) id: b375adba0d (このIDを非表示/違反報告)
m - 立夏さんのお話、内容がししっかりしてて面白くて…他にも作品書いてるのかなって思ったら過去に読んだ事ある作品ばかりですごい驚きました!全部すごい好きな作品だったので…Twitterのフォロー失礼致します! (2021年8月31日 12時) (レス) id: a52571fa0a (このIDを非表示/違反報告)
りー - 叔母様いい人や!姉さんの事好きだったんやな(´;ω;`) (2021年8月22日 22時) (レス) id: 6d65fc1765 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 推しが尊いマンさん» わ〜!ありがとうございます!後半すごく悩みながら書いていたので本当に嬉しいです!最後までお付き合い頂きありがとうございました!! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2019年4月5日 20時

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