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『…わかってるよ』
「…Aさん」
『私が悪いことくらいわかってる、謝ろうとした。けど…』
「けど、なんですか?」
『………目、合わせてくれなかった』
新一くんが小さく目を見開いた。
私が悪かったと思ってる。反省してる。
謝ろうとしたのだ。彼の背中を追いかけて、ごめんなさいって、言おうとした。
振り向いてさえくれなかった。
目も合わせてくれなかった。
口も聞いてくれなかった。
本気で怒らせた。
今までにないくらい、彼を怒らせてしまった。
『…どうすればいいかわかんなくて、逃げてきたの』
「……」
『こんなこと初めてなの。
ただ避けられるだけならあったし、失敗して叱られることもあった。でもあの人を本気で怒らせたのは初めてなの。
ごめんね、また面倒くさいことに巻き込んじゃって』
「いいですよ、あんたら2人の面倒くささには慣れてるんで」
『さっきからほんと辛辣だね?今めっちゃ空気ぶち壊したよ?』
そういうとこだぞ工藤新一。
あはっと軽く笑う。
あー、人と喋ってたらちょっと元気出たかも。
まだなにも解決してないけど、1人でうじうじするよりずっとましになった。
いいお友達を持ったな、なんて10も年下の子相手に思いながらココアを一口飲んだ。
「まぁでも、そりゃあ自分の嫁が他の男に色仕掛けとか面白くないですよね」
『組織が壊滅して付き合い始めた瞬間にいきなり禁止されたんだよねー。やっぱり嫌なのかなぁ』
「…降谷さんが誰かにハニトラしてたら嫌じゃないんですか?」
『うーん…全く気にしないとは言わないけど、仕事だってわかってるしね。
ていうか零さんが1番好きなのは私だし、そこらの女にはそうそう負けない自信あるから』
「……そういうとこ相変わらずっすね」
『ありがと』
「褒めてないです」
まじか褒めてなかったのか。
半目で言った新一くんは、すぐに真面目な顔つきに戻って顎に手を当て、なにか悩む素振りをする。
お?事件解決への糸口でも掴んだかな?是非ともお教え願いたい。
真剣な顔で考え込んでいる彼を待っていれば、やがて名探偵さんは頷き、顔を上げて私を見た。
「帰って下さい」
『いやそれ何回言うの』
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なでぃあ - すみません💦立夏さんの作品一覧の中でパスワード保護がかかっている作品を読みたいのですがパスワードを教えて貰えないでしょうか? (2023年1月10日 21時) (レス) id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!私の文章で幸せになって頂けたなんて私の方が幸せです!笑 ありがとうございました!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 話の構成も文章の書きかたも素敵で、幸せな気分です!これが神だ。嬉しくて泣けました(マジ)応援してます! (2020年3月5日 10時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - なのなの-VIIさん» わぁ〜!とってもご無沙汰な更新でしたが読んで頂けるなんてすごく嬉しいです!!ありがとうございます!!私もはっぴー満点で眠れます!笑 (2020年2月9日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの-VII(プロフ) - 更新ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです! おかげで幸せな気分で寝れます! (2020年2月8日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年11月18日 21時