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※夢主が告白して公安辞めてない頃
『おっはようございまーーす!!』
時刻は深夜2時。
瞼をなんとか固定しながらパソコンを睨んでいた時に耳をつんざいたそんな声に、握っていた缶がべキリと音を立てた。
もう1回言うぞ。深夜2時。
バカでかい声は重い頭に響きまくる。
仮眠室で一眠りしてきたらしいAは随分スッキリした顔で帰ってきた。これは殴ってもいいやつだろうか。
「てめえ俺が何徹目だと思ってんだ…」
『あっはは、当ててあげましょうか、3でしょ』
「わかってやってるってことは喧嘩売ってんな?」
上等だ買ってやるよ。
ゲラゲラ笑ってる彼女は仮眠を取ったとはいえまだそれなりに寝不足なのだろう。完全に深夜テンション。巻き込まないでくれ。
『今の私はテンション高いんですよ!要するに無敵!なんだって出来る気がする!!』
「だったらさっさと仕事片付けてくれ」
『仕事以外ならなんだって出来る気がする!!』
「とことん使えねえな。コーヒーでもパシらせてやろうか?」
純粋にうるせえ。時間ないんだから早く仕事しろよ。
しかしAはまだ無駄口を叩き続ける。
俺の背後をウロウロしている彼女はえらく楽しそうだ。
なんだか無理やりテンションを上げてるようにも聞こえてきた。
『コーヒーか〜!それも良いですけど、やっぱり頭使ってると糖分欲しくなりません?』
「は?なに言って…」
『やっぱりなりますよね!降谷さんならそう言うと思いました!!』
言ってねえ。
テンションが高いというより最早おかしい気がする。
彼女の考えてることが理解出来なくて一旦手を止め、振り返る。
するとその瞬間、なにかをコロンと口の中に放り込まれた。
「!? なん…っ」
いきなりのことに驚いて口を塞ぐ。丸いものが転がる。
一体なにかと思えば、すぐに上品な甘さとカカオの香りが口の中に広がった。
…チョコ?
Aの手には有名なチョコレートのブランドの箱。
彼女はそれを静かに閉め、俺のデスクの上に置く。
その時ようやく、今日が2月14日…バレンタインデーであることに気がついた。
変に高くしていたテンションのわけを理解する。勢いで押し通そうとするのはAの癖だ。
彼女は目を伏せて微笑み、小さな声で言った。
『…義理ってことでいいので、受け取って下さい』
「………」
それだけ言い残して自分のデスクに戻る彼女の背中にかける言葉は見つからず、甘ったるいチョコの味だけが脳に焼き付いた。
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なでぃあ - すみません💦立夏さんの作品一覧の中でパスワード保護がかかっている作品を読みたいのですがパスワードを教えて貰えないでしょうか? (2023年1月10日 21時) (レス) id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!私の文章で幸せになって頂けたなんて私の方が幸せです!笑 ありがとうございました!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 話の構成も文章の書きかたも素敵で、幸せな気分です!これが神だ。嬉しくて泣けました(マジ)応援してます! (2020年3月5日 10時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - なのなの-VIIさん» わぁ〜!とってもご無沙汰な更新でしたが読んで頂けるなんてすごく嬉しいです!!ありがとうございます!!私もはっぴー満点で眠れます!笑 (2020年2月9日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの-VII(プロフ) - 更新ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです! おかげで幸せな気分で寝れます! (2020年2月8日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年11月18日 21時