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「新人が暗号を解いたぁ?」
ある日の徹夜明けの早朝。
俺はヒロが言った言葉をそのまま復唱した。
手元には担当外だった事件の資料。
ヒロは缶コーヒーを飲みながら「ああ、」と頷く。
「新人っていうか…配属は今日かららしいんだけど。
昨日挨拶にちょっとだけ来てたんだってさ。その時に机の上に置きっぱなしにされてた暗号見てヒョイヒョイッと解いちゃったらしくて」
「ヒョイヒョイって…」
確か情報を盗み出せたはいいものの暗号が解けなくて詰まっていた案件だ。
自分に任されていた仕事が多くて目にしていなかったが。
今日から来る新人って…まだ若い女性だったよな。
相当頭がキレるか、もしくは単なる偶然か…
ヒロはもう1枚紙切れを俺に差し出してくる。
「で、その暗号解いたらこの英文が浮かび上がるようになってるんだけど…」
「…イギリス英語か?」
「って思うだろ?
でもこの文書を作ったやつはイギリス人だって絞り込もうとしたら、彼女また顔を顰めて言ったらしくて」
彼は空になった缶を置き、人差し指を立てて言った。
「“こんな下手くそなイギリス英語あってたまるか。これを書いたのはイギリス人に罪をなすりつけようとした西洋人ですね、バレバレすぎてウケる”」
「ウケっ…」
資料を落としそうになった。
な、何者だよそいつ…そりゃ公安に来るならそれなりに優秀なやつだろうけど、話を聞いてる限り桁違いだ。
「ヒロはもう会ったのか?その子」
「いや?今日初めて会うよ。でも昨日見た人達によるとありえないくらいの美人らしい」
「へー…頭も顔もいいってことか」
「あぁ…あ、そろそろ来たっぽいな」
そう言いながら立ち上がったヒロが、入口の方へ目を向ける。
自然と俺の視線もそっちに向いた。
そこには1人の女性の後ろ姿。
上司に挨拶をしている彼女の綺麗な長い髪が揺れる。
後ろ姿だけでも相当スタイルが良いことが窺えた。足長いわ顔小さいわ腰細いわでモデル並み。小さくざわめきが広がる。
オフィスの中の全員の視線を釘付けにしていた彼女は、ゆっくりとこちらを振り返る。
そしてその顔立ちに、手元の資料はついに音を立てて床に落ちた。
「は!!??いくらなんでも顔が良すぎじゃないか!!?ふざけるな!!!」
『え!!??嘘でしょめちゃくちゃイケメンな人がいる!!??なんてこったあまりにも顔が好き!!!』
「ど、どうした二人とも!!!??一旦落ち着け!!!」
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なでぃあ - すみません💦立夏さんの作品一覧の中でパスワード保護がかかっている作品を読みたいのですがパスワードを教えて貰えないでしょうか? (2023年1月10日 21時) (レス) id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!私の文章で幸せになって頂けたなんて私の方が幸せです!笑 ありがとうございました!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 話の構成も文章の書きかたも素敵で、幸せな気分です!これが神だ。嬉しくて泣けました(マジ)応援してます! (2020年3月5日 10時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - なのなの-VIIさん» わぁ〜!とってもご無沙汰な更新でしたが読んで頂けるなんてすごく嬉しいです!!ありがとうございます!!私もはっぴー満点で眠れます!笑 (2020年2月9日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの-VII(プロフ) - 更新ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです! おかげで幸せな気分で寝れます! (2020年2月8日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年11月18日 21時