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「それじゃあ透さん、これが最後の質問ね」
「あ、はい」
食べ物は全て盛り付けて運び終わった。
そのタイミングでそう切り出され、自然と背筋が伸びる。
百合子さんは少し目を細め、菜箸を置いた。
「あの子のこと、これまでずっと笑顔にしてきてくれた?」
「………」
それは。
想像していたような質問とはかけ離れたもので。
少し間を置いて、頷きかけて、「はい」と答えそうになって。
けれど肯定の言葉は最後まで言いきれず、吐息の中に消えた。
「……いえ」
代わりに出たのはそんな音だった。
拳を強く握る。脳裏に焼き付いたAの表情を思い出しながら、彼女に返した。
「僕は…今まで何度もあの子のことを泣かせました」
これまでずっと笑顔にしてきたなんて、言えるはずがない。
泣かせてばかりだ。悩ませてばかりだ。ずっと辛い思いをさせてきた。
でも。
「でも、これからは絶対に泣かせたりしません。
僕にとってAさんは誰よりも大切な人です。
なにがあっても離したくないと思った人なんです」
百合子さんの瞳をまっすぐに見る。
彼女はじっと黙って俺の話を聞いてくれている。
こんな流れで言うつもりじゃなかった。こんなことを言うつもりもなかった。それでも、言わなければならない。
「どんなときも笑顔にしてみせます。
絶対にAさんを幸せにすると約束します。だから…っ」
姿勢を正して、頭を下げた。
「娘さんを僕にください」
握った手の中を汗が滲む。
ここまで緊張するのなんていつ以来だろうか。
まぁ…そうだよな。Aがかかってるとなるとそりゃこうなりもするだろう。
そのままの状態でしばらく時が過ぎる。時計の秒針の音がやけに大きく響く。同じくらい自分の心臓の音も頭の中に響く。
やがて百合子さんが小さく息を吐いたのが聞こえて、躊躇いがちに顔を上げた。
「…そう、Aはあなたの前で泣けるのね」
そう言って彼女は、緩く笑っていた。
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なでぃあ - すみません💦立夏さんの作品一覧の中でパスワード保護がかかっている作品を読みたいのですがパスワードを教えて貰えないでしょうか? (2023年1月10日 21時) (レス) id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!私の文章で幸せになって頂けたなんて私の方が幸せです!笑 ありがとうございました!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 話の構成も文章の書きかたも素敵で、幸せな気分です!これが神だ。嬉しくて泣けました(マジ)応援してます! (2020年3月5日 10時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - なのなの-VIIさん» わぁ〜!とってもご無沙汰な更新でしたが読んで頂けるなんてすごく嬉しいです!!ありがとうございます!!私もはっぴー満点で眠れます!笑 (2020年2月9日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの-VII(プロフ) - 更新ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです! おかげで幸せな気分で寝れます! (2020年2月8日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年11月18日 21時