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彼は泣きそうな表情で私の頬に手を添える。
私だってそんな顔させたくなかったのに。
「お願いだから言ってくれ。もう隠さないでくれ。
今になってまでお前が本心を抑え込む必要なんてないから…!」
そして零さんは、私が1番言われたくなかった言葉を口にしようとした。
「A、ごめ…」
『っ言わないでください!!』
咄嗟に彼の口を手で塞ぐ。
その言葉は、その言葉だけは絶対に言ってほしくなかった。
『あなたは何も悪くないんです…!
あなたのせいにだけはしたくない!あなたが謝るべきことじゃないし、謝ってほしくないんです!』
「A…」
『悪いのは…!全部、私で…』
そんな言葉を零して、小さく息を吸った。
もう隠せない。逃げちゃダメだ。「本当はどうしたいのか言って」。作戦前日に言われた言葉が頭をよぎった。
『…あなたの邪魔にだけはなりたくなかったんです』
「……」
『それだけはしたくなかった。純粋な気持ちでまっすぐに日本を守るあなたの姿にこんな感情を抱いてしまった自分が許せなかった。
あなたは優しいから、私の気持ちを知ったらきっと困ってしまう。
だから…全部なかったことにして、包み隠して終わりにしようって思ったんです』
彼の手を取ってぎゅっと握る。
『あの時、嫌だって思ってしまったんです。
他の誰かに青い宝石の指輪をあげてるあなたを見つけて、素通りできなかった。
仕事だって理性ではわかってても感情がついていってくれなかった』
俯いて、その手を見つめたままで息を継ぎ、口を開いた。
『ごめんなさ…、っ』
けれど、言おうとした言葉は彼によって食べられてしまった。
唇を塞がれて息が止まる。
ほんの数秒。彼は離れる前に指を絡めた。
「…バカだな」
いつもと変わらない優しい声に、涙が出そうになった。
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なでぃあ - すみません💦立夏さんの作品一覧の中でパスワード保護がかかっている作品を読みたいのですがパスワードを教えて貰えないでしょうか? (2023年1月10日 21時) (レス) id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!私の文章で幸せになって頂けたなんて私の方が幸せです!笑 ありがとうございました!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 話の構成も文章の書きかたも素敵で、幸せな気分です!これが神だ。嬉しくて泣けました(マジ)応援してます! (2020年3月5日 10時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - なのなの-VIIさん» わぁ〜!とってもご無沙汰な更新でしたが読んで頂けるなんてすごく嬉しいです!!ありがとうございます!!私もはっぴー満点で眠れます!笑 (2020年2月9日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの-VII(プロフ) - 更新ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです! おかげで幸せな気分で寝れます! (2020年2月8日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年11月18日 21時