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「ありがとうございます！」
嬉しくて俺がすぐにマグカップに手を伸ばしてふーふーして飲むと、
「……ブラックで良かったですか？」
気遣う様な伊野尾先生からの滅多に聞けない不安げな声が聞こえてきて、
「とても美味しいです。大切に飲みますね。」
俺が笑うと、
「大袈裟な。それより授業中の私語が多い事が改善されなければまた抗議します。その時は。」
伊野尾先生が俺から目線を外してまた教材をじっと見ながら、
「俺に紅茶、奢ってください。……職員室の、じゃなくて。お店の。」
ぱらぱらとページをめくった。
いつもと違う素直な感じが恥ずかしかったのか、頬がピンクに染まった伊野尾先生をこれ以上恥ずかしがらせないように、
「了解です。」
俺はさらっと約束してまたパソコンに向かう。
なぜか嬉しくて飛び上がりたいのを我慢しながら。
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作者名：すみれ | 作成日時：2023年6月29日 2時
