僕の心をノックした (ページ30)

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俺とのキスで雄也先輩はありえないくらいにニコニコが止まらない。
そして俺を口説きに口説く。
大貴と夏休みに旅行に行きたいって。

「受験生のくせに。」
繋いだ手を揺らしながら、家まで送るよと言って送ってくれてる先輩に言えば、
「心の栄養がないと勉強頑張れないって。」
鼻歌でも歌い出しそうなその横顔に、夕暮れの光が優しく降り注いでる。
かっこいいのに綺麗。
……旅行、行きたいかも。
「そういうの無しなら、行ってもいいけど。」
ぼそっと言えば、
「無い………とも言い難い。」
俺の方を向いて、ふっと笑う。
だから、かっこいいんだって！！

だけどすぐに前を向く先輩が、
「そうだな、だったらさ、あいつらと一緒に4人で行こうか。それなら俺も大貴にキス以上は迫らないですむだろうし。」
そう言ってくるのに、騙されないぞと思う。
だってプラネタリウムでさんざん俺をどきどきさせたもん！
でも、4人とか、そんなのますます行きたいよ。

俺は先輩の手を引っ張るように走り出して、
「……涼介、知念くん！夏休み、一緒に旅行に行こうよ！！」
2人仲良く、肩を並べて歩いてる涼介と知念くんに声をかけた。

陽はほとんど落ちていて、だけど少し残る濃いオレンジの空の下、恋はまだまだ進んでいく。