王子様、彼氏になる。 (ページ10)

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「あれま、大ちゃん、お疲れ？」
雄也との再会を果たした次の日、1限目の講義を一緒に取ってる裕翔が俺の隣に座りながら声をかけてきた。
机に肘をついて、そこに寝不足満載のむくんだ顔を乗せる俺が、
「……王子様のせいです。」
力なく答える。
「王子様？？何それ、面白そう。」
笑う裕翔に、
「ちっっとも面白くないから。」
はぁ、とため息をついた。

確かに7年も経てばあれだけ変わるのかもしれない。
キスだって自然にできちゃう位に。
俺が意識しすぎなのかな？
でも。

…………お嫁さんにもらうって言ってたの、あれは覚えてるのかな？

「って、ないないないないない！！こんな男にお嫁とか、ない！、なぁ、裕翔！？」
ぐわっと頭を抱えて裕翔に言った。
キョトンとした後、
「ん？お嫁？大ちゃんになら可愛いお嫁さんがくるよ。」
裕翔がにっこり笑ってくれる。
優しい裕翔にぐっと複雑な感情が込み上げてきて、
「………その逆なんだけど。俺をお嫁にって………いや、そうか、そうだよな。」

ただの責任感だ。

やっとその答えに辿り着く。
雄也は優しい。
俺に傷をつけた事に責任を感じてお嫁さんにと言った。
また会えて嬉しかったのは、俺に傷痕が残ってないか心配だったから。
………キスは、残ってなかったから嬉しくてしたんだろう、多分。

「裕翔、なんか頭スッキリした。サンキュー！」
お礼を言うと、
「何もしてないよ。…本当に困った時は、何でも言ってね。」
優しく笑う裕翔。
よし、これから雄也とはバイトの先輩後輩として新たな関係を築いていこう！

なんて決意したのに。