王子様、彼氏になる。 (ページ4)

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『大貴、大丈夫っ！？』
いってぇと、だけど胸の中で俺の名前を叫ぶ雄也に心配かけたくなくて、雄也を抱きしめたまま何とか起き上がって、
『…………大丈夫だよ。雄也は？怪我してない？』
目を潤ませてる雄也に笑う。
雄也が俺に抱きついてきて泣いた。
それが可愛くて、可愛くて。
だけどそれからすぐに、
『っ、傷の手当てしなきゃ！』
涙を両手で拭ってから雄也が立ち上がって、俺の腕を引っ張って起き上がらせる。
『ベンチに行こう。』
なんてリードしてくれて。
いいって言ってるのに、ハンドタオルを水道の水で濡らして俺のおでこの傷を拭いてくれた。
『傷にならないといいけど……。』
不安そうに呟いて、
『ごめん、俺のせいで怪我させた。』
表情をぐっと引き締める。
そして、
『俺が責任とってお嫁さんにしてやるから。』
と言った。

お嫁さん、か。

微笑ましすぎて笑いたいのを堪えながら、雄也の頭をぽんぽんと撫でて、
『覚えてたらな。』
そう言うと、ますます雄也がきゅっと表情をひきしめる。
そして、

『待ってて？きっと大きくなるから。大きくなって、迎えに行くから。』

約束してくれた。
小さいけどかっこよくて王子様みたいな雄也に、俺はいいよと、返事した。

だけど雄也とはそれからしばらくして会えなくなった。
急すぎる雄也の転校によって。