王子様、彼氏になる。 (ページ3)

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雄也は素直な子だった。
俺が何か教えると、必死で繰り返し練習して上手くなった。
でも負けず嫌いでもあって、一対一で戦って俺に必ず負けると、
『大貴、ずるい！ちょっとかがめよ！』
身長差のせいだとむくれる。
周りの奴らに比べたら背の低い俺は嬉しかった。

休憩、と俺が温かい紅茶を買ってあげると、
『大貴、モテるだろ？優しいもんな。』
なんて言うから、
『雄也こそモテるだろ？かっこいいもんな。』
俺が笑って言った。
そう、雄也は9歳にしては顔立ちが、どこか大人っぽくてかっこいい。
『えー、そんな事ないけど。』
照れた後に、ハッとした顔になって、
『あ、でも俺、今、大貴が1番好きだから！大貴、可愛いもん。』
にこっと笑う。
………悔しいけど、子供だけど、やっぱりなんだか、かっこいい。

そんな雄也と空が暗くなるまで毎日バスケして、１週間が経った。
この日は俺たちの近くで、サッカーボールを使って遊んでいる高校生が何人かいた。

『………雄也、危ない！！』

必死でドリブルの練習をしてた雄也に、高校生がふざけてすごい勢いで蹴ったサッカーボールが当たりそうになった。
俺がダッシュして飛び込むように雄也の小さな体を抱きしめて、そのまま勢いあまって地面に滑り込む。
雄也を庇うあまりに、おでこを思いっきりこすりながら。