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制服のエプロンを脱いで、コートを着た雄也が俺の前まできて片膝をついてしゃがんだ。
「嫉妬でおかしくなりそうだからって、さっきの態度は最低だった。許して欲しい。」
膝に乗せてた俺の両手をそっと握ってくれる。
嬉しい。
雄也が戻ってきてくれた。
信じられないくらいに嬉しい。
「………かっこいいから、許す。」
鼻をぐすっと啜る俺に、ふわっと雄也が笑って、
「大貴は本当に優しいね。大貴の最初に恋する人があの人なら、俺は大貴の幸せだけを祈るよ。だけどしばらくは少し距離をおいてもいいかな?こんなに大貴が好きだから、今は辛くて。」
そう言って俺の手を離す。
キス、してくれないんだ。
………って、あの人って誰?
立ち上がって、休憩室を出ていこうとして少し雄也が振り返る。
「王子様みたいだった、本当に。」
ほんの少し目が合って、きらっと雄也の瞳が光ったと思ったら逸らさせれた。
パタンと、扉が開いて閉まる。
置いてきぼりの俺には構わずに。
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作者名:すみれ | 作成日時:2024年3月22日 2時