王子様、彼氏になる。 (ページ16)

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こいつスパイかよと、情報収集能力半端なくてするどい裕翔にビビってると、
「で、どこ？王子様は。」
キョロキョロしだす裕翔。
そんな裕翔にひそひそ声で、
「………王子様って勝手に俺が言ってるだけで、本人は知らないから静かにして！」
俺が言うと、
「大ちゃんの中でだけ王子様なんだね。素敵だな。で、王子様は？」
しれっと微笑む裕翔に、肩を落としながらレジ作業をしてる雄也を指さす。
「おぉ、マジですごいイケメンじゃん！」
声が大きくなる裕翔を黙らせようと、
「ばか！！」
裕翔の口を両手の手のひらで抑えた。
そんな騒ぐ俺たちを、周りのお客様が見てくる。
レジにいる雄也も気付いて見てきた。

王子様とか聞かれちゃったかな？

裕翔の口から手を離すと、裕翔が雄也に向かってぺこっと頭を下げた。
それから俺の頭を撫でて、
「この前も言ったけど、困った事があったら何でも言ってね。恋の相談でも、何でも。」
微笑んでくれる。
こくっと俺は頷く。
バイバイと手を振って裕翔がいなくなってから雄也の方を見ると、普通にレジ作業をしていた。
その端正な横顔を見ながら、大丈夫、裕翔と話してた事は気付かれてなさそうだと安心した。
そんな俺は浅はかだったんだろうか。

この日、先にバイトが終わった俺が雄也を休憩室で待っていると、バイトを終えた雄也が俺の所まで来て言ったんだ。
「……………しばらく大貴とは話したくない。」
って。
端正な横顔が冷たく。