王子様、彼氏になる。 (ページ2)

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むしゃくしゃする。
なんで部活やめなきゃいけないんだよ。

当時俺は中2で多感な時期。
冬休み前の成績表がボロボロで親と喧嘩になって、バスケ部を退部させられた。
勉強が1番大事。
はいはい、それが何か？

かなりヤケクソになりながら塾にも行かず、部屋にいるのも嫌で公園に行った。
バスケットゴールがある貴重な公園でひとりで練習しようと思って。
すると先客がいた。
小さな体を弾ませて、下手っぴなゴールを繰り返す子が。

しばらく遠目で見ていて、あまりの下手さに感心していると、その子が外したボールが俺の所までぽん、ぽん、と転がってくる。
スッと拾って、久しぶりのボールの感触にその場で思わずドリブルをついてしまった。
その子が走ってそんな俺の所まできて、
『……もしかして、経験者？？』
体だけじゃなくて、弾む声、寒さで赤くした頬で聞いてくる。
可愛いくてふっと笑ってしまうけど、でもそんな俺には構わずに、
『ね、そうなら、俺にバスケ教えてくれない？？俺、ミニバスに入ったばっかで上手くなりたくて。』
必死に言ってくるから、
『………俺でよければ。』
シュッとパスしながら返事した。
できるだけ緩めのパスで。
そんな俺のパスを受け取って、その子がパァッと笑顔になってから交わした初めての挨拶を、今もはっきりと覚えてる。

『お兄さんのパス、受け取りやすい！名前は？俺、髙木雄也！』
『有岡大貴だよ。』

それから俺たちは友達になった。
14歳と9歳、５つ年の離れた友達に。