明けても、暮れても。 (ページ8)

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月曜日、朝、まだ髙木は来ていない。
仕事が始まる前に、デスクに片手で頬杖をついてぼんやりしていた。

2度目のキスの後、目を開けると髙木が真剣な目で俺を見てた。
そして言ったんだ。
もう一回、キスしてもいい？って。
3度目のキスはめちゃくちゃ甘かった。

また思い出して、うわーってなってデスクに伏せる。
なんで俺は、キス、許したんだ？
…………だってドキドキするキスは久しぶりだったから。

週末からずっとこの問いを繰り返してはこの答えに辿り着いていて、マジで行き場がないってとぐったりしてると、
「おはよう。」
俺を無駄にドキドキさせてる男が出社してきた。
顔を上げたくなくて伏せったまま、
「…………はよ。」
短く答える。
「そんなに疲れてるなんて、デート、よっぽど楽しかったみたいだね。」
まるで見当違いの事を言われてカチンときて、
「っ、そんなの、会って2時間くらいで喧嘩して終わったよ！！」
顔を上げて勢いよく言った。
髙木が目を丸くして驚いた後に笑って、
「そう。」
満足気に言って、俺の隣の席に座る。
「……何、嬉しそうにしてんだよ。」
睨みながら言うとそんな俺を見もせずに、
「昼ごはん奢りたいんだ。」
誘ってくるからぐっと黙る。
ちらっと髙木が俺を見てきて、
「彼女と喧嘩した同僚を励まそうという、表向きの理由にのってくれない？」
なんて。

嫌な奴だな、ほんと。
何だよ、意味あり気な事言うなって。
だけど知りたい、表向きじゃない裏向きの理由を。