明けても、暮れても。 (ページ23)

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あれ？何も泣く事なんてないのに。

滲んでくる涙を手の甲で拭いていると、
「……俺だってどうしようもなかったんだ。キスなんてしようと思ってなかった。有岡くんが好きで好きで、勝手に片想いしてるだけで十分だった。なのに。」
髙木が目を伏せて、前髪を指でかきあげたまま、
「あんなに近くで有岡くんの笑顔見たら、止まれなかった！！」
叫ぶように言った。
髙木が髪から指を離して、
「有岡くんにキスした後、眠れなかった。バカみたいだろ？子供だよ、中学生並み。有岡くんが好きでたまらない。」
そう言って最後にぽつんと、
「………………俺も有岡くんが大好きなんだ。」
呟いた。

静かになる屋上で、髙木の言葉が耳の奥で響いてる。

ダメになったと思ってた。
傷つけ合ってダメになって、好きだけが残ってた。
だけど俺だけじゃない、髙木も俺をまだ好きだった。