月の下で待ってて (tk×ar) (ページ9)

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放課後、進路指導室で2人きりで、机に向かい合って座る俯く有岡に、
「あのさ、相談って何？」
一応聞くけど応えない。
仕方ない、本当は優しい中島先生に言いたかったんだもんな。
「言いたくないならいいよ。もう帰りなさい。担任だからって気を遣わなくていいから。…大丈夫、中島先生に話聞いてもらえる様に俺からお願いしておくから。」
くしゃっと頭を撫でる。
有岡がそんな俺に呟いた。
「………中島先生に相談したいのは、髙木先生に言えない事だからです。」
って。

俺に言えない事？

指を頭から離す。
伏せる有岡の長いまつ毛がぱちぱちと揺れる。

「髙木先生。」

どくんっと、心臓が鳴って、有岡が俺を見上げた。

「…………俺、髙木先生にキスしました。……ごめんなさい、ほっぺた、汚して。」

じわっと涙が浮かぶ有岡にしばらく何も言えなかった。
心が喜んでしまって、どうしようもなかったから。