月の下で待ってて (tk×ar) (ページ5)

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金曜日のLHRは滞りなく過ぎた。
女子の学級委員の笹崎と、笑顔で仲良く有岡が進行したからだ。
俺といる時とは全然違うと、複雑な気持ちで見守っていると全部の委員が決まって、
「先生、さようなら。有岡くん、バイバイ。」
笹崎が笑顔で部活に向かうのを、さよならと見送った。
他の生徒もばらばらと教室から出て行って、
「………失礼します。」
硬い声で有岡が俺を見ずに言う。
「………………気を付けて帰れよ。」
何とか教師らしい返事をして職員室に戻った。

自分の席に座ってパソコンに向かったものの、相変わらず冷たい態度をとってくる有岡の事で頭がいっぱいで仕事が捗らない。
授業のまとめをぼんやりとしていると、
「お疲れ様です。」
中島先生が挨拶して帰って行った。
とうとうひとりになる。
早く終えようと気合を無理やり入れ直して、そして気付いた。
教室に名簿を忘れている事に。

仕方なく教室に取りに戻った。