月の下で待ってて (tk×ar) (ページ12)

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キスだよ、きっと。

後悔は後になって散々押し寄せてくる。
また有岡と目が合わない。
用事を作って話しかけても冷たく返される。

キスじゃなくて抱きしめておけばよかった…と、昼休みに職員室でため息をついていると、
「髙木先生、今、いいですか？」
学級委員の笹崎が声をかけてきた。
「何？」
背筋を伸ばして教師らしく微笑んで聞くと、
「今度行われる体育祭なんですが……。」
相談をしてくる。
答えながらも、内心少し傷ついた。
有岡も学級委員なのに。
よっぽど嫌われたな、これは。

大体の話が終わって笹崎が、
「ありがとうございました。」
笑顔でお礼を言ってくれてから、
「本当は有岡くんが先生と話をしてくれるはずだったんですけど、まだ保健室から戻ってきてなくて。」
ちょっと困った様に言う。
保健室？

驚いて、
「保健室！？有岡が！？」
心臓がどくっと嫌な音を立てながら聞いた。
「2時間目の体育の授業で貧血で倒れて、それで。…あれ？知らなかったんですか？」
笹崎も驚く。
それからの午後の授業の時間がどれだけ長く感じたか。

HRが終わって、俺は保健室の扉をはやる気持ちを抑えてゆっくりと開けた。