10年愛 (tk×ar) (ページ9)

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いらっしゃいませと笑顔で接客する大貴を、お客さんが帰ったテーブルの食器を片付ける手を止めて遠くから見守る。

大丈夫かな、無理してないかな。

あまりにも大貴が心配でぼーっとしてしまっていたらしい俺に、
「髙木さん、てきぱき働いて下さいよ〜。」
手伝ってくれてる後輩で高校生バイトの深澤が注意してくるから、
「何を〜、俺に仕事教わったくせに、生意気なんだよ！」
わざと怒ったフリすると、
「怖っ！っていうか、有岡くんの事、見過ぎですって！」
冗談だと分かってるのか冗談で返してくれた。
だから、
「見てねぇから！」
本当は見てたけど、と、内心思いながらも否定すると、
「超見てました！有岡くんに報告しよーっと。」
食器の乗ったトレイを片手で運びながら深澤が大貴のところまで歩いて行く。
待てよと思ってるうちに、背の高い深澤はもう大貴の側にいて、ひと言、ふた言、何か話しかけてる。
しばらくして大貴が俺の方を見てから、すぐに走ってきた。

「心配してくれてるの？」

まだ少し赤い目元。
やっぱり無理してる。

俺が大貴の目元を指で撫でて、
「心配したいんだ、いつでも。俺の前では泣くの我慢しなくていいよ。…さっきの話も、俺はお前の味方だよ。どんな大貴も好きだから。」
優しく言うけど、また大貴の目がうるんでしまう。
なんで？