10年愛 (tk×ar) (ページ30)

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バイト前、休憩室。ページ30

「なっ、なっ、なっ、何ですって！？」

バイトが始まる前に深澤に報告した。
雄也と付き合い始めたって。
すると深澤が大きなリアクションで返してくれた。

そりゃびっくりするよな。
男同士だし。

まずかったかなぁと不安になっていると、
「おめでとうございます！ていうかむしろ付き合い始めるの遅くないですか？？いやぁ、髙木さん呑気だなぁ。こんなに可愛い有岡くんが他の男に狙われるとか危機感ないんですかね？？」
独特の表現でお祝いしてくれる深澤に、
「あ、ありがと。…あの、俺、可愛くないから。」
腰が引けながらも真実を言うと、
「はぁ？？有岡くんは可愛いですって！まさに、俺、狙いそうです！」
俺の両手をがしっ！と両手で握ってきて、
「………今からでも遅くない。俺と付き合いませんか？」
なんて言って。
あーあ、と、俺はため息をつく。
深澤の後ろに雄也が、鬼の形相でいつの間にか立っているのに気付いてたから。

「深澤！てめぇ、俺の大貴に何言い寄ってんだよ！！」
べりっと俺から深澤を力づくで雄也が離してから2人で取っ組み合いをする。
「俺が駆け寄ったからそれでいいって髙木さん、言いましたよね！？じゃあ俺でいいじゃん！！」
「はぁ？覚えてねぇよ、とにかく大貴は俺のだから！！」
「独占欲強ーっ！そんなんじゃ有岡くん気の毒ですって！」

仲良さそうな2人からそっと離れてホールへと向かった。

俺の大貴、だって。

俺は嬉しさで笑うのを堪えながら蝶ネクタイの位置を直す。
もっと嫉妬してって思いながら。

俺なんて10年、いろんな女の子に嫉妬してたんだからな！