10年愛 (tk×ar) (ページ19)

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「なんっで髙木さん、有岡くんのピンチに駆けつけなかったんですか！？」

大貴より先に休憩になって、ロッカールームの隣の休憩室に入ると待ち構えていた様に深澤が俺に文句を言ってきた。
「お前が駆け付けたんだからそれでいいだろ。」
テーブルに備え付けられているパイプ椅子のひとつにどかっと座ると、
「有岡くん、少しだけど割れたカップで指先、切りました。大丈夫、大丈夫って泣きそうになりながら、無意識でしょうけど、髙木さんの方をチラッて見てました。何回も。」
深澤が俺を睨む。
そんな事言われて嬉しくてどうしようもないけど、
「見間違いじゃない？大体、お前が助けたんだから、俺は関係ないだろ。」
強がってしまった。
深澤がため息をつきながら、
「……俺が有岡くんを助けたのがそんなに悔しくて嫉妬するなら、今度は自分で助けに行ってやって下さい。」
呆れた様に言って休憩室から出て行く。

…嫉妬、するに決まってるだろ。
だってあれは俺の役目で、俺がしたい事なんだ。

でも大貴の10年の俺への想いを考えると何もできない。
親友でもいられない、構うこともできない。
恋人にでもならない限り。

………………恋人？

何かに気付きそうになったその時、ガチャっと休憩室の扉が開いた。