10年愛 (tk×ar) (ページ17)

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「おはよー。」

先にロッカールームで着替えていた大貴がいつも通りに、何事もなかったの様に挨拶してきた。
寝不足でよく目が開いてない俺に。

……え？何？あの告白は幻？

ぼーっと考えていると、テキパキと大貴が着替えを終えて、
「先に行くね。」
にこっと俺に笑って歩き出そうとするから、慌てて腕をガシッと掴んで、
「ちょっ、待って！あのさ……っ。」
話しかけて止まる。
大貴の横顔が真っ赤だったから。
ドキッとする。

「……………離して。」

耳まで赤くなる大貴。
ますますドキドキして握る指先にぐっと力が入った。
「っ！、あれ、嘘だから！！練習だから嘘ついたんだ！雄也じゃない、他の人が好きだから！」
大貴が俺を睨む様に見てきて吐き出す様に言うけど、
「………これから雄也とは親友じゃなくて、普通の友達として付き合うね。」
急に声も表情も弱々しくなって言った。
俺の大貴の腕を掴む指の力も弱くなる。
その隙に逃げ出すみたいにロッカールームから大貴が出て行く。
背中を見送る事しかできなかった。

親友、やめるしかないのかもな。

体の力が抜ける。
無責任に大貴にドキドキしてしまう俺じゃ、側にいる資格がないのかもしれない。