10年愛 (tk×ar) (ページ14)

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最後の水槽の前で、楽しいけどでもこれじゃダメだと、
「なぁ、このままじゃ俺、役立たず過ぎる。頼むからそいつの事を諦めないで、両想いになれる様に俺を使ってよ。」
大きな魚が優雅に泳ぐのを見ながら、
「…………告白の練習とか、していいから。」
と言った。
「怖がらないで。まずは想いを伝えないと。もし今は断られても、大貴の10年分の想いはいつかきっと伝わるから。最初の一歩が俺なら怖くないだろ？」
そんな俺に大貴が水槽を見たまま、ふっとため息をついて、
「……仕方ないな、雄也は言い出したら聞かないから。」
俺をちらっと見てから、
「これで最後。もう俺の役に立つとかいいから。自然にその人を忘れるように見守ってて。俺から離れた場所で。」
なんて言った。
だから離れる必要なんてないと言おうとしたところで、

「…………ずっと。……ずっと、大好きでした。」
噛み締めるように、静かに、
「出会ってから、ずっと。………手を、伸ばしてくれた時から。」
大貴が告白してくれる。
一瞬、頭が真っ白になった。

……………何て？

ずっと大好き。
それは分かる、でも。
手を伸ばしてくれた時？

「もう帰ろう。」

考えがまとまらないまま、また手を引っ張られて歩き出した。