10年愛 (tk×ar) (ページ12)

今日:17 hit、昨日:1 hit、合計:5,344 hit

(12) ページ12

営業時間終了が近づいてる水族館に入ってすぐに、
「そいつ、同い年なの？」
俺が聞くと、
「まぁ、そうかな。」
曖昧に答える大貴に、
「そっか。じゃあまぁ今から俺をそいつだと思って、どうぞ。」
同い年の大貴の片想いの相手になりきる気持ちできりっと表情を引き締めると、ぷはっと大貴が笑って、
「いいよ、そんなの。いつも通りに一緒に遊ぼう。」
なんて言う。
「それじゃ意味ないだろ！？さぁ、俺をそいつだと思って！」
しつこくすれば、
「だから、それじゃ手も繋げないだろ？友達だから癖だって許してもらえてて、俺、雄也と手繋ぐの好きなのに。」
大貴が俺の手を握って、
「これがいい。雄也の近くにいたいから。」
繋いだ手を持ち上げてほんの少し唇に当たるか当たらないかのところで止めて、

「俺、雄也がいいんだ。」

と言った。

可愛すぎる。素直で、良い子で。

「……俺の出番無くすなよ。こんなお前見たら、そいつ速攻で大貴に落ちちゃうだろ。」
役に立てなさそうだと落ち込むと、
「ないない、それはない！だってずっと………いや、なんでもないよ。」
大貴が首をふるっと横に振って、
「10年片想いしてるんだ。もう無理だって。だから今さらその人を落とそうなんて思ってないから。でもありがと、優しい雄也が大好きだよ。」
なんてさらに可愛くて。
「……もったいねぇなぁ。俺だったら絶対に大貴に落ちるのに。そいつバカじゃねぇの？顔見てみたいんだけど。」
つい本音が漏れた。
大貴の顔が強張る。

やば、好きな人をバカ扱いしたから怒ってる？