君が大好き (ページ30)

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俯いて泣きじゃくる俺の肩を雄也がさすって、
「お前と裕翔さんみたいに仲良い兄弟見た事ないよ。だから大丈夫。俺と裕翔さん、どっちも好きでいていいから。みんなで仲良くなれるから。」
そう言ってくれるから、うん、うん、と頷く。

泣き止んでから家まで雄也に送ってもらって、キスをしてから雄也が帰って行った。
家の扉の前にひとりで立つ。
もう帰ってるはずの兄ちゃんに言う言葉は決まってる。
雄也と会わせてくれてありがとう、でも、雄也と付き合うのを許して下さい、でもない。

「……ただいまー。」
いつもみたいに何気なく扉を開けて、靴を脱いでリビングに行った。
キッチンの方にいた兄ちゃんが振り向いて、
「おかえり。」
笑って言ってくれるから、走って兄ちゃんの所まで行く。
そして。

「俺ね、兄ちゃんが大好きだよ。」

笑うと抱きしめられた。
雄也とは、恋人のどきどきとは違うハグ。
温かくて何よりも安心する胸に包まれて、俺は思い切り深呼吸をした。