君が大好き (ページ23)

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雄也と慧さんと別れて2人で駅から家へと帰る途中、
「…………雄也はいい子だよ。」
少し前を歩く兄ちゃんに小さく、でも聞こえるように言うと、
「知ってる。」
兄ちゃんが返事をしてくれる。

それから、
「俺ね、兄ちゃんが大好きなんだ。」
「知ってる。」
「兄ちゃんから離れたいわけじゃないよ。」
「知ってる。」
「けど、雄也に恋したんだ。一緒にいたいんだ。」
「知ってる。」
そんな言葉のやりとりが続いて、
「だから兄ちゃんは慧さんと、俺は雄也と新しく家族になればいいと思う。それじゃだめ？」
お願いすると兄ちゃんが立ち止まって俺を見つめて、

「お兄ちゃんのお嫁さんにしてね。」

そう言った。
すごく寂しそうに笑って。

「………母さんと父さんが死んでから、何回お前に言われたかな？ずっとお兄ちゃんと一緒がいい、早く大きくなるからお嫁さんにしてねって。………それだけで自分でも怖いくらいにがむしゃらになれた。お前を育てる事を。」
兄ちゃんが俺の頬を両手で柔らかく包んで、
「慧がいるからいいとかじゃなくて、大貴がいなくなるのが寂しい。」
俺のおでこに自分のおでこをこつんっと当てて、
「ごめんな、今だけ言わせて？………大貴、愛してる。お前のために生きていきたい。お前が俺の全部だよ。」
涙をひと筋、流した。

抱きしめられる。
大好きな兄ちゃんの匂い。
兄ちゃんがぽつんと、
「なんて嘘。いいよ、雄也くんと付き合っても。幸せになれよ。」
と言ってくれた。