君が大好き (ページ22)

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寂しいと泣いてしまいたい。
だけどそんな勝手な事は言えない。
俺にだって雄也がいるんだ。
「…伊野尾さん、兄をよろしくお願いします。」
改めて挨拶してまた頭を下げると、
「慧でいいよ。俺こそよろしくね。」
伊野尾さんが素敵な笑顔で答えてくれる。

これでいいんだ。
これで。
兄ちゃん離れをして、俺も雄也と生きていこう。

「兄ちゃん、まだまだお世話になるけど俺も高校生だし、これからは慧さんを第一に考えて幸せになってね。俺は雄也と幸せになれるように頑張るから。だから俺たちの事、認めてね。」
俺が俺にしては上手くまとめると、肩に置かれた雄也の手にもぐっと力が入る。
慧さんも頷いてる。

なのに。

「それとこれとは別。絶っ対に認めないから。」

兄ちゃんが笑った。
目だけ。

がっくりする伊野尾さんに、はぁーっとため息をつく雄也。
俺は悔しくて何も言えなかった。