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一歩足を踏み入れてからは、心臓がばくばくして頭の中がぐるぐるして何がなんだかあまり覚えていない。
フロント、とか、エレベーター、とか、意外に普通のホテルみたい、とか、雄也に手を引かれながぼんやりと思った事だけはなんとなく覚えてる。
部屋に着いて、まだ手を繋がれながらほんの少し歩くと大きなベッドが見えて、そこで意識がはっきりしてきた。
「…………帰るっ！！」
顔がかあっと熱くなって叫んだ。
なんで俺はこんな所にいるんだ。
そりゃ好きな人と入る場所かもしれないけど。
回れ右して帰ろうとすると、
「だめ、帰らせない。」
雄也に素早くお姫様抱っこされて、暴れる暇もなくベッドに座らされた。
その横に雄也が座ってきて、
「少しだけこうして時間潰そう。……キスしながら。」
腰に腕を回してくるからビクッとして、甘い言葉にぞくっとする。
こんな事されるの初めてじゃないけど、ホテルのベッドの上っていうだけで全然違う。
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作者名：すみれ | 作成日時：2024年1月11日 1時
